カントの『永遠平和のために』を要約したものを読み、核心に触れたようで感動しました。その核心は二つあって、まず、理性に基づく契約社会について述べた部分です。これこそ、『永遠平和のために』を考えていく際の前提条件なのです。まず、この前提条件を了承して初めて、前に進むことができるということです。
人間は理性をもつ。理性とは、さまざまな法則をたばねるような、すべてに当てはまる「原理」を導き出す能力のこと。つまり、理性をもつ人間は自分の利益を追求するという個人の法則にしたがって満足するのではなく、すべての人間がいつでも(原文は傍点)したがうべき原理を求める。こうして道徳が生まれる。みなに当てはまる原理にのっとって、人がおたがいに尊重し合う社会、これを実現するのが、法・政治である。みなを同じように平等にしばる法にしたがうことに、(強制ではなく)自分の意志で同意し、契約した者たちが、生命・財産をおたがいに守り合うのが、共和制国家だ。(『ドイツ文学の道しるべ ニーベルンゲンから多和田葉子まで』、畠山寛編著、ミネルヴァ書房、2021年、p 14)ここで、人間のもつ理性について確認できたところで、次に大切なことは、<実際にはまだ戦争が生じていなくとも、戦争のきっかけとなりうるものがこうしてあるかぎり、それは「休戦」という名の戦争状態にすぎない>という指摘であり、<逆に、戦争のきっかけさえない(原文は傍点)状態、これがカントの求める「永遠平和」なのだ>という指摘です。
改めて発見できた重要な点こそが<戦争のきっかけとなりうるものがこうしてあるかぎり、それは「休戦」という名の戦争状態にすぎない>という指摘です。まさに、日本は平和のように見えても、戦争状態だったのです。
