青木理さんへのインタビュー記事「震災から10年、政治が加速させた『喪失』」(朝日新聞デジタル・2021年2月17日)を読んだ。タイトルにした「このままで僕たちは生存可能なのか」という言葉が、現実味を帯びて胸に突き刺さってきた。
戦後七十数年が経ち、この国の閉塞(へいそく)感の原因、直面する諸問題はほぼ明らかなわけです。少子化や高齢化が進み、縮小する人口は大都市に集中して地方は疲弊している。そして財政状況も悪化の一途をたどるなか、医療や各種の社会保障は果たして持続可能なのか。失われた何十年などと称される長期の景気低迷が続き、産業的にもイノベーションが起きなくなったのはなぜか。これは日本に限った話ではありませんが、地球規模の気候変動が加速し、自然災害が各地で続発し、このままで僕たちは生存可能なのか。
と。しかし、明確な課題も明らかにされ、心地よかった。問題は、明確にされた課題を実行できるかどうかである。今の政権にその気がないなら、明確にされた課題を実行できる精力を選ぶ以外に選択肢はない。インタビューでは、そこまで踏み込んでいないのが残念だった。
例えば少子化対策は、
震災があらわにしたものを含め、どれも一朝一夕には解決不能な難題ばかりですが、たとえば少子化に関しては個人の生き方の多様性が欠かせないと僕は思います。さまざまな家族や出産、子育ての形を受け止め、広く推奨し、政治や社会が可能な限り支援していく。
なのに安倍政権は「一億総活躍社会」とか「女性が輝く社会」などというスローガンは掲げても、実際は「伝統的家族」などというカビの生えた妄想に固執し、選択的夫婦別姓制すら頑として認めない。彼らにとっては復古的な「国の形」が重要なのでしょうが、そんなものに押し込めようとすれば女性は結婚したがらなくなるし、ひとり親などの子育てはますます苦しくなり、社会でも「活躍」などできるはずがない。 将来が見通せなければ社会が閉塞(へいそく)し、不安や焦燥が広がるのは当然です。
国際関係についても次のように、的確に本質的な問題提起をしている。
国際関係もそう。たとえば韓国とはいまだに歴史問題でいがみあっている。でも、安倍政権が主張してきた拉致問題の解決を北朝鮮と向き合って本気で動かそうとすれば、日韓がいがみあって何の得もありません。韓国側にももちろん問題はあるにせよ、ゆがんだ歴史観を振りかざして関係を悪化させるばかり。一方で世界が眉をひそめた米国の特異な前政権にはひたすら媚(こ)びを売る。なにもかも倒錯しています。
少子化対策にせよ、外交問題にせよ、政府にその気がないなら、要は、やる気のある野党が力を合わせて政権交代を目指すしかないのだ。そこまで踏み込んで欲しかった。