アメリカ合衆国に独立宣言があるように、ベトナムにも独立宣言がありました。始めにアメリカ合衆国の”独立宣言”と、フランス革命の”人権および市民権宣言”を取り上げ、それらが「何人も否定できない真理である」ことを宣言しています。それは次のような内容でした。
全国の同胞のみなさん
”すべての人間は生まれながらにして平等である。造物主は彼らにだれにもおかされない権利を付与しており、そのなかには生命、自由と幸福を追求する権利がふくまれている”
この不朽の言葉は、一七七六年のアメリカ合衆国の独立宣言のなかの言葉である。この語句をひろく考えると、全世界のすべての民族は生まれながらにして平等であり、いかなる民族も生きる権利、幸福の権利と自由の権利をもつことを意味している。
一七九一年、フランス革命の人権および市民権宣言もつぎのようにのべている。
”人は生まれながらにして権利において自由、平等であり、かつつねに権利上の自由と平等を享受しなければならない”
それは何人も否定できない真理である。(『わが民族は英雄』、ホー・チ・ミン著、加茂徳治他訳、新日本出版社、1976年、p27〜28)
しかし、「八〇年以上にわたり、フランス植民地主義は、自由、平等、博愛の旗を利用してわが国を略奪し、わが同胞を抑圧してきた」ように、「彼らの行動は人道と正義にまったく相反するもの」でした。それゆえ独立宣言では、次々とフランス植民地主義の罪状を告発していきます。
政治(原文は傍点)の分野ては、彼らはわがベトナム人民にいささかの民主的自由も絶対に与えなかった。ここで日本国憲法のことを考えました。
彼らは野蛮な法律を施行した。彼らは中部、南部、北部にそれぞれ異なった三つの制度を制定し、われわれの国家統一をさまたげ、わが民族の団結をさまたげた。
彼らは学校の数よりも多くの監獄を建てた。彼らは、わがベトナムの愛国者たちを情け容赦なく殺害した。彼らはわれわれの諸蜂起を血の海に沈めた。
彼らは世論をしめつけ、愚民政策を実施した。
彼らはわが子孫を衰退させるべく阿片、アルコールを使用した。
経済(原文は傍点)の分野では、彼らはわが人民を骨の髄まで搾取し、人民を貧困におとし入れ、わがベトナムを荒廃させた。
彼らは田地、鉱山、原料を強奪した。
彼らは、銀行券の発行と輸出入質易を独占した。
彼らは何百もの理不尽な税を設け、わが人民、とくに農民と商人を貧困の極におとし入れた。
彼らはわが民族資本家の台頭をさまたげた。彼らはきわめて残忍に搾取した。(上同、p28)
このような、フランスの、フランス革命の”人権および市民権宣言”から逸脱した行為があったとしても、フランス革命の”人権および市民権宣言”の輝かしい存在は色やせていません。今も、燦然と光り輝いております。日本国憲法も同じです。どんなに現実政治が憲法から逸脱しようとも、理想の光は燦然と輝いているのです。輝かしい光は、決して消してはならないのです。理想の光は、歴史が示しているように、100年経っても、200年経っても、燦然と輝くものなのです。
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