哲学者の長谷川宏さんが、『ことばをめぐる哲学の冒険』の中で、カントの『永遠平和のために』を取り上げていました。そこで引用されていたカントの言葉が、日本の進むべき道を暗示しているようでした。それは次の言葉です。日本は、まだ共和国にはなっていませんが、平和憲法を持つ国として、永遠平和を目指す「他の国々の連合的統一の中心となり、連合に参加した国々は、国際法の理念に従ってたがいの自由を確保し、そうした結びつきがだんだんに大きく広がっていく」。そう思えた、いや、そうしなければならないと思ったのです。「九条を本当に実行する」ということは、こういうことでもあったのです。
最高の道德的立法権をもつ理性が、⋯⋯⋯平和の状態こそまっすぐめざすべき義務だと考えたとしても、民族間の契約なくしては平和の状態は確立されないし、保障されない。そこで、「平和連合」とでもいうような特別の連合が存在しなければならない。⋯⋯⋯この連合はなんらかの国家権力の獲得をめざすのではなく、もっぱら一国家の自由、および他の連合国家の自由の確立と維持をめざすものである。⋯⋯この連合がすべての国々のあいだに徐々に広がると、永遠平和へと至るはずだが、その理念の実現可能性(客観的実在性)を示せなくはな心がうまく展開して、強力で文化的な一民族が共和国を作ることができたとすると(共和国はその本性からして永遠平和をめざすはずだから)、この共和国が他の国々の連合的統一の中心となり、連合に参加した国々は、国際法の理念に従ってたがいの自由を確保し、そうした結びつきがだんだんに大きく広がっていくのだ。(『ことばをめぐる哲学の冒険』、毎日新聞社、2008年、p210〜211)
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