さらに耳が痛いは、「最もあきれることは、人民が政府に反対して起たぬことである。王政と共和制との間に何の違いがあるのか? 最もあきれて物も言えぬことは、社会全体が、戦争という一語に対して反抗しないことだ」(上同、p98)というモーパッサンの言葉です。これだけ軍事費をアップして戦争の準備に余念がないにも関わらず、反対が少なく、モーパッサンさんの危惧が現代にも通じるからです。今まさに、<現在の危機の一つは、明らかに依然として「戦争」であり、それに伴う好戦人種の周到な準備>(上同、p95)なのです。
また、「人間の根本倫理」という言葉を初めて知りました。「生存競争弱肉強食の法則を是正し、人類の文化遺産の継承を行うのが、人間の根本倫理と考える」(上同、p96)というのです。この「人間の根本倫理」をもっと充実させ、国同士で承認し合うことができれば、戦争が起きることもないのではないでしょうか。
(注)渡辺一夫著「文学者も戦争を呪詛し得ることについて」『新選現代日本文学全集 第34 (渡辺一夫,竹山道雄,桑原武夫,加藤周一集)』筑摩書房、1959年
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