2024年7月26日金曜日

モーパッサンの幸福論

 渡辺一夫著「文学者も戦争を呪詛し得ることについて」(『新選現代日本文学全集 第34 (渡辺一夫,竹山道雄,桑原武夫,加藤周一集)』筑摩書房、1959年)には、(附記)として「モーパッサンの反戦論的主張は、『水の上』の[四月七日]附の文章末数頁に見られる。拙文中へ引用したのは、ニーロップの引用した文章だけであるが、それ以外にも、『水の上』中には感動すべき幾多の主張がある」と、『水の上』の紹介がありました。
 確かに、戦争に関する論述部分がありました。と同時に、モーパッサンが幸福について論述しているところを見つけてしまいました。
 人生に満足し、何事にも興味を抱き、不満を覚えぬ人間は幸福である。人生のすべてを愛し、あらゆるものに狂喜する人間、太陽を愛し、雨を愛し、雪と霧とを愛する人間。彼らは静かな家庭が好きだし、お祭り騒ぎも好きである。彼らには、人生において見るもの、すること、聞くこと、ありとあらゆるものが楽しいのである。
 彼らの中のある者は、孫や子供達にとり卷かれ、静かな、安穏な、満足しきった生活を送っている。ある者は、快楽と愉悦とを追い求めて活動的な生活を送っている。
 いずれにせよ、彼らは絶對に人生に嫌氣がさすことはない。
 彼らにすれば、人生は芝居と同じように楽しく味わえるのである。彼らは人生という芝居に一役買ってでてもいる。もつとも、人生は格別彼らを驚歎させ有頂天にさせるわけではないが、とにかくそれは変化にとみ、彼らには興味のある芝居と、同じ程度にたのしいのだ。(『水の上』、モーパッサン著、斎藤正直訳、河出書房、1953年 p38〜39)
 モーパッサンの戦争論だけでなく、幸福論にも魅力を感じました。あと、どんな論を展開しているのか、あるいは彼の人生について、興味を抱いてしまいました。人生楽しみたいものです。

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