2024年3月18日月曜日

絵画における普遍性

 日曜美術館の「春 はじまりの旅 アート×坂本美雨」(2024年3月24日放送)で、坂本美雨さんがとても印象的な言葉は語っていました。
 そのうち一つは、彫刻家朝倉文夫の猫のスケッチを前にして語った言葉です。「スケッチが大好きで、いいなと思った瞬間の衝動だったり、まだ完成していないワクワク感というか迷いだったりがスケッチには現れるから、探っている最中って魅力的ですよね」と、だいたいそんな内容の話でした。

ベルト・モリゾの「ベランダにて」
 次は、ベルト・モリゾの「ベランダにて」を前にしての話です。「同じ頃の娘がいるので、母心がくすぐられます。(多分そんな表現)娘に会いたくなっちゃった。同じ時代にいるかどうかに関係ないです。そこから何を感じ、通じ合えるかで、100年、200年経っても通じ合える」という話を聞きながら、これこそ”芸術の普遍性”である、とアリストテレスの「芸術における普遍性」について、思い出していました。
 芸術は、アリストテレスによれば、・・・日常世界の内に雑多な形で生起している様々な偶然事や夾雑事等も含まれたその世界の「一切」をそのまま語ることなく、それらの偶然的なものや夾雑的なものを捨象することによって、日常世界の内奥の本質的な相を浮かび上がらせるのです。普遍性の次元に入り込むことによって、芸術は、世界の内在的な本質に達するのであり、その本質の次元における「偶然」的でない関係即ち必然的ないし蓋然的な関係――をもった一連の出来事を作品化するのです。芸術が、「現実を凌駕」するのは、まさしくこのようにしてなのです。(『西洋芸術の歴史と理論』、青山昌文著、放送大学教育振興会,、2016、p69、下線は引用者)
 ここでも「夾雑的なものを捨象」していますが、それは顔の表情とか服装など、多くの”夾雑的なものが捨象”され、少女の内奥にある”本質的な相”が浮かび上っています。

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