今後日本はどうあるべきか、それを考えるヒントは、これまでの日本の歴史にあった。歴史と言っても、もう大な歴史があるわけだが、総体としての歴史、すなわち、戦後の無一文から出発したに等しい戦後の復興史の中に、そのヒントはあった。その指標は、『文藝春秋SPECIAL :中国、アメリカに勝つ!日本最強論』(2015年冬号)に示された日本の豊かさである。
日本を、世界で最も豊かな国とする国際的な調査(『文藝春秋SPECIAL :中国、アメリカに勝つ!日本最強論』のこと)がある。アメリカを抜いているんです。戦争が終わったときにどん底で、僕はそのときに五歳ですから、毎日食うものもなくて、本当に大変だったんです。ものすごくリアルに知っているわけです。それが今、こういう国を築けたというのは、世界の歴史の中で類がない成功といえると思います。(『立花隆:最後に語り伝えたいこと』、立花隆著、中央公論新社、p77)
ご飯も満足に食えなかった国が、「世界の歴史の中で類がない成功」を成し遂げてしまった。「だから、この後どうなるか。問題はそこなんです」と、続く。
この成功の最大の背景の一つは、日本が軍備を捨てた。憲法九条を持って、九条を持つがゆえに、そこが微妙なんですが、ある時期までほとんど軍備に金を使わないで来たということなんですね。その後も、特に金がかかる核兵器などには全く見向きもしなかった。(中略)歴史の事実として、第二次大戦後、日本はほとんど軍備に金を使わなかった。
人材をどこに振り向けるかということが、その国の成功を一番左右すると思うのですが、要するに、日本の主たる人的資源を軍備や軍事技術に向けないで来たというのが、日本の成功の一番の背景だと僕は思っています。
でも、最近そうじゃないという意見、そういう流れができて、違う方向に流れつつある。歴史というのはその時代の人々の意見の集合として決まってくるわけです。常に歴史は動いて、その方向はまだ分かりません。ですけれども、今日の皆さんの発表を聞いていると、むしろいい方向にどんどん向かぅんじゃないかという気がしてきました。(上同、p78)
なぜ、「世界の歴史の中で類がない成功」を成し遂げることができたか、それは、「人材をどこに振り向けるかということが、その国の成功を一番左右すると思うのですが、要するに、日本の主たる人的資源を軍備や軍事技術に向けないで来たというのが、日本の成功の一番の背景だと」語っている。つまり、「この後どうなるか」という問題は、これからも、「日本の主たる人的資源を軍備や軍事技術に向けないで」、教育や科学の振興、社会福祉の充実等々に向けていくことに尽きる。そういう意味では、9条を改定して軍事費を増大させるなどということはあってはならない。歴史の逆行は、断固阻止すべきなのである。
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