2021年8月30日月曜日

強盗犯と繋がれて

  河上肇といったら、経済学者で『貧乏物語』の著者であるくらいの認識だった。それが詩集も出版していたのである。『詩のこころを読む』(茨木のり子著、岩波ジュニア新書、1980年)で河上肇の詩が紹介されていて知った。

(旧い友人が新たに大臣になったと言う知らせを読みながら) 

私は牢の中で便器に
腰かけて麦飯を食ふ。
別にひとを羨むでもなく
また自分をかなしむでもなしに。
勿論ここからは一日も早く出たいが、
しかし私の生涯は
外にゐる旧友の誰とも
取り替えたいとは思わない。(『河上肇詩集』)
 以上の凛としたような詩が紹介されていた。早速、詩集を探し、政治犯としての実態を知らされた。「強盗犯と繋がれて」というフレーズの詩を見つけた。
十年まへのけふは
身に囚衣を纏ひ
手錠をはめ
強盗犯と繋がれて(『旅人 : 河上肇詩集』、興風館、1946年)
 このような歴史があったことは決して忘れてはいけない。強くそう思った。

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