河上肇といったら、経済学者で『貧乏物語』の著者であるくらいの認識だった。それが詩集も出版していたのである。『詩のこころを読む』(茨木のり子著、岩波ジュニア新書、1980年)で河上肇の詩が紹介されていて知った。
(旧い友人が新たに大臣になったと言う知らせを読みながら)
私は牢の中で便器に腰かけて麦飯を食ふ。別にひとを羨むでもなくまた自分をかなしむでもなしに。勿論ここからは一日も早く出たいが、しかし私の生涯は外にゐる旧友の誰とも取り替えたいとは思わない。(『河上肇詩集』)
以上の凛としたような詩が紹介されていた。早速、詩集を探し、政治犯としての実態を知らされた。「強盗犯と繋がれて」というフレーズの詩を見つけた。
十年まへのけふは身に囚衣を纏ひ手錠をはめ強盗犯と繋がれて(『旅人 : 河上肇詩集』、興風館、1946年)
このような歴史があったことは決して忘れてはいけない。強くそう思った。
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