妾尚中著「未来を予見していた真の理想主義者」『婦人公論』(2008年8月7日号)を読んで、妾尚中の心の師だという政治学者藤原保信さんの存在を初めて知った。「未来への三つの提言」をしているが、全く今日的な課題であることに驚いた。
先生は未来社会への深い洞察力をお持ちで、今日的な諸問題について、はるか以前から見通していました。
まず第一に、「環境政治哲学」を提唱されました。大量生産、大量消費、大量廃棄へと流れてゆく人間活動には限りがなく、それを助長するような政治ではいつかは限界が来る。自然の生態系を守りながらより良い世界を築いていくためには、環境適合型の社会をデザインしていかなければならない、と考えられたのです。
第二に、自由な経済活動のもとで、人間の欲望が肥大化するにまかせている政治のあり方そのものを変えるべきだ、という強い意志をお持ちでした。政治が経済の奴隷になってはならない。この現状を変えるためには、過去の科学史、技術史からもっと学ぱなければならない、と.
第三には、常に強者が弱者をしのいで富を独占するという現実社会のありように対しての批判--。
「政治が経済の奴隷になってはならない」という主張は初めて知ったが、政府による「東京五輪開催の強行」こそ、「政治が経済の奴隷になっている」見本であろう。藤原さんは五九歳で亡くなったようだが、著作集が出版されるほどの仕事ぶりに驚いた。そして、『藤原保信著作集 9』に収録されている論文を見て、藤原保信さんへの興味が一層深まった。「競争の論理から共生の論理へ」など、全くの今日的課題でだからである。どんな論文なのか、今から興味津々である。
9巻のタイトル
自由主義の再検討
競争の論理から共生の論理へ
政治理論と実践哲学の復権
政治哲学のパラダイム転換のために
初期ロックの政治理論
経験論と自由主義
ロック経験論と道徳
自由主義と道徳的秩序
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