『朝日新聞』が九五年五月三日の憲法記念日に、「”非軍事”こそ共生の道」と題した六項目の提言を、特集社説のかたちで提案していた。その内容は、”在日米軍基地を撤去・縮小”にまで言及した、極めて先進的なもので驚いた。このような遺産(?)を大切にし、引き継いでいきたいものである。以下、強調は引用者による。
それは、「①現憲法は依然としてその光を失っていない。改定には益よりもはるかに害が多く、反対である。 ②日本は非軍事に徹する。国際協力にあたっては、軍事以外の分野で、各国に率先して積極的に取り組む」(『なぜ今、日米安保か』、都留重人著、岩波ブックレット、1996年、p34)というのであった。
朝日新聞社社説の具体的な考え方は、次のとおりである。
▷ まず、「戦争や武力行使を放棄した九条は、人類の願いをうたいあげた理想主義的な規範」であって、この「軍事が他に優先することを否定した鉄則」は、あくまでも守る。
▷ しかし、憲法も、自衛権にもとづく自衛組織の保有を禁じてはいない、と考える。
▷ では、合憲の自衛組織とはどういうものか、というと、「いわゆる専守防衛型の装備と編成に徹し、海外派兵は許されない。現在の自衛隊は、すでに許される自衛力の範囲を逸脱している疑いが濃いので、まず装備と隊員を削減し、あわせて目的、組織、編成など全面的に改造する。
▷ 「世界の戦略環境から見て、少なくとも来世紀初頭までは、日本が直接の侵略対象になる可能性は低い。 ソ連脅威論をもとに増強された冷戦型の現自衛力は大きすぎる。たとえば陸上自衛隊を段階的に半減したとしても、国の安全が直ちに損なわれることはない。むしろ、それが周辺国の軍縮の呼び水になれば、それだけ日本の安全度は高まろう。」
▷ 次に、アジアの平和のための組織づくりにかんしての日本の役割だが、「日米両国は冷戦型の安全保障体制を見直すこと、とくに在日米軍基地を撤去・縮小すること、そのうえで、予防外交や軍備管理の機能をもつ欧州安保協力機構(OSCE)型組織が今世紀中にアジアでも発足できるよう、協力すること」が、それである。
▷ なお、日米安保条約にかんしては、同条約のもとでの「日米安保体制は、日本が戦後米国の庇護の下で国際社会に復帰し、発展するためのやむを得ない道だったかもしれない。だが、米国の戦争に巻き込まれる可能性をはらむ軍事同盟への参加は、憲法の理念に照らせば、過渡的、例外的な選択だった。もっとも、信頼できる地域安全保障の仕組みがなく、域内諸国の多くが紛争抑止力としての米軍の展開と日本の支援を期待する間、安保体制の改編は漸進的に進める必要がある。」
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