1995年5月18日から1996年10月16日まで、1年半にわたって続けられた、孤高の天才ドライバー、アイルトン・セナをめぐる対話の全記録『セナ』(桜井淑敏・谷口江里也著、早川書房、1996年12月)を読んで、素敵な言葉を見つけた。
すべての人が幸せになれればいい。日本人も、ブラジル人も、
ヨーロッパやアメリカやアフリカや中国の人も、
誰もがみんな幸せを求めている。
人には、健康と平和が必要、
人には人が必要、
人には愛が必要なんだ。
これから先、個人として、
企業や国家という集団として、
何をするにせよ、
自分達だけの健康や幸福を考えてはいけない。
自分が愛されることばかりを求めてはいけない。
愛を求めている人は他にもいる。
世界は急速に成熟し、
どの国も、もはや別々の存在ではなくなった。
すべてがひとつに結ばれているんだ。
地球という星の上で。(『セナ』、p334、行間は引用者による)
このセナの言葉に対する解説も良かった。
桜井 ブラジルと日本が力を合わせればという例の言葉も、谷口が今言った言葉の後で言っているんだよね。あの時のセナのOne Single Earth、たったひとつの地球という言葉の響きは、本当に感動的だよね。この短い言葉の中で、地球と一人の人間という、最も大きなものと小さなものが一つの価値観の中で見事に共存している。
谷口 健康という言葉もすごくいい。
桜井 そして、人は誰でも幸せを求めているけれども、ただし、そして同時にだからこそ、自分ひとりの幸福を求めちゃいけない。なぜなら、今やひとりの人間にしても、ひとつの企業にしても、ひとつの国にしても、そのひとりの人間がしたこと、ひとつの企業がしたこと、ひとつの国がしたことは、地球全体に影響を及ぼすからだと。だから、例えば自分の幸せのために、他人とか他の民族とかを犠牲にするようなことはしちゃいけないと言っているわけだよね。これはやっばりセナが最終的に到達した地球観というのだったと思うんだけど、いい言葉だね。内容もいいけど、セナの口から発せられる言葉の響きが本当にいい。昨日たまたまファンの人が来ていたので、セナのそこの所の言葉を一緒にあらためて聞いたんだけど、みんな泣いちゃってね。One Single と言ってから、ちょっと間をおいてEarthと言うその言葉が、何度も言うけど、実に強い。
谷口 本当に感動的ですね。
桜井 やっぱりこれからの、ひとりの人間のライフスタイルなり、生き方なり、存在なりというものは、地球全体の問題にまでつながっているんだという感覚を持たなくてはいけないと思うよ。人間としても企業としても国家としても、絶対に持たなければならない、そういう時にきていると思うんだよ。もちろん実際には、そうではない人、そうではない企業と、そうではない国とかは多いわけだけど、だからといって手をこまねいていては、もう先が見えている。(『セナ』、p336、行間は引用者による)
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