『危機と人類』の上下二冊を読んだ。と言っても、流し読みで、結論部分を読み取ったというだけだが、重要な示唆に富んだ視点を学ぶことができた。
その要点は次の通り。
世界史は、全体がグローバルな問題に直面している。しかし、識字率のかつてない向上、民主主義国の増大、地球規模の問題に対処する諸機関の発展など、確実に数々の困難を乗り越えて発展してきた。
そういうわけで、これからも、歴史に学び、困難を乗り越えていくに違いない。その際大切なことは、「時代に合わなくなった価値観を捨て、意味のあるものだけを維持し、新しい時代状況に合わせて新しい価値観を取り入れること、つまり基本的価値観を選択的に再評価すること」(『危機と人類・下』、ジャレド・ダイアモンド著、日本経済新聞社、2019年、p145)だ。
日本において、どのような価値を捨て、どのような価値をより発展させていくべきなのか、これから考えていきたい。ただ、戦力を放棄して教育に力を入れてきたニカラグアの歴史には、学ぶところが多くあるのではないかと思っている。なお、以下の引用の強調は引用者による。
世界史において今日ほど字の読める人が多い時代はない。私たちの世界史についての知識ははるかに増えているし、トウキュディデスよりもはるかに実例にもとづいた主張ができる。民主主義国は増えており、つまりいまだかつてないほど多くの人々が政治に参加できる。
無知な指導者が跋扈しているのも事実だが、国家指導者のなかには幅広く本を読む人もおり、彼らにとっては過去よりも今のほうが歴史から学びやすい時代である。各国の首脳陣をはじめ数多くの政治家に会ったとき、私の過去の著作に影響を受けたといわれるのはうれしい驚きだった。現在、世界全体がグローバルな問題に直面している。しかしこのI〇〇年、とくに過去数十年のあいだに、世界は地球規模の問題に対処する諸機関を発展させてきた。
以上のような理由から、私は悲観主義者の声に耳を傾けず、希望を捨てず、歴史について書きつづけている。そうすれば、望んだときに歴史から学ぶという選択肢を手にすることができるからだ。とくに、過去において危機はしばしば国家に困難を突きつけてきた。今でもそれは変わらない。しかし、現在の国家や世界は対応策を求めて暗闇を手探りする必要はない。過去にうまくいった変化、うまくいかなかった変化を知っておくことは、私たちの導き手になるからだ。(同上、p312~313)
現実的にみて、日本が現在直面している問題は、一八五三年の唐突な鎖国政策の廃止や、一九四五年ハ月の敗戦による打撃に比べれば大したものではない。これらのトラウマから日本がみごとに回復したことを思えば、今日、もう一度日本が時代に合わなくなった価値観を捨て、意味のあるものだけを維持し、新しい時代状況に合わせて新しい価値観を取り入れること、つまり基本的価値観を選択的に再評価することは可能だという希望を私は持っている。(同上、、p144~145)
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