歴史家に
過ぎたことを祝福する君よ、
外面を、民族のうわっつらを、おもてにあらわれた生命を、探求してきた君よ、
人間を政治と集団と支配者と僧侶の産物として扱ってきた君よ、
わたし、アリゲニー山脈の住人は、人間を生まれながらのあるがままに扱い、
おもてにあらわれることのめったにない生命の脈拍を(人間がおのれにいだく偉大な誇りを)
しっかととらえ
「人格」の歌い手となり、やがて生まれ出るものの輪郭を描きつつ、
未来の歴史を提示する。『ウォルト・ホイットマン』、アメリカ・古典文庫・5、亀井俊介他訳、研究社、1976年、p36
アメリカの歌がきこえる
アメリカの歌がきこえる、さまざまな喜びの歌がきこえる、
職工の歌、ひとりひとりが職工らしく陽気に力強い歌をうたっている、
大工は板や梁をはかりながらうたい、
石工は仕事の準備や片づけをしながらうたい、
船頭は小舟の上で、水夫は汽船の甲板で、自分の世界の歌をうたい、
靴屋は仕事台にすわってうたい、帽子屋は立ったままうたっている、
木こりの歌、朝に、昼の休みに、日没に、野道をたどる農夫の歌、
母親や、仕事にはげむ若妻や、裁縫、洗濯にいそしむ娘の、心地よい歌の調べ、
それぞれの人が、自分の世界の歌、ほかの誰のものでもない歌をうたっている、
昼には昼の世界の歌 ―― 夜には親しくたくましい若者の群れが、
口を大きくあけ、力強く調べよい歌をうたっている。p37
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