2024年10月30日水曜日

アメリカを理解するために

 日本の要は、本来日本国憲法です。しかし現実は、日米安全保障条約が要になっています。何よりの証拠は、世界有数の自衛隊の存在と在日米軍の存在です。日本国憲法は、平和憲法といわれるごとく戦力によらないで平和国家を建設していくことになっています。そのような憲法を軽視し、あるいは無視しているのが日米安全保障条約なのです。
 ここで考えてほしいのが、アメリカを信用していいのか、ということです。そのためには、真実のアメリカというものを理解する必要があります。その材料は、戦後のアメリカ氏における戦争史で事足りますが、多民族を虫けらのように扱ってきた度重なる核実験の歴史(注1、注2)も、決して消えることのないアメリカの汚点です。
 さらには、「一人のジャーナリストが、ソヴィエトに予告なしに原子爆弾を投下するべきであると主張」(注3)したのを聞いたフォ-スタ-の生々しい体験も、考えてみれば恐ろしい話です。だからこそ、日米安全保障条約は破棄し、真の友好条約を結ぶべきです。この方向性こそ、日本国憲法を生かす道なのです。

 (注1)エニウェトク環礁でも、一九四八年から一九五八年までのあいだに四三回の核爆発実験がおこなわれ、三つの島が完全に消えてなくなった。エニウェトク島の住民一三六人も、一九四七年十二月から一九六九年までの二二年間、べつの島に移住させられていた。 『核兵器 その廃絶をめざして』、服部学著、東研出版、1982年
 ミクロネシアばかりでなく、ジョンストン島、クリスマス島、ムルロア環礁などの太平洋の島じまでも、イギリスやフランスもくわわって数多くの核爆発実験がおこなわれた。一九八二年のはじめには、ボリネシアのムルロア環礁が、たびたびのフランスの核爆発実験でひびがはいり、環礁にのこっていた放射能がまわりの海にもれだしたことが報じられた。(『核兵器 その廃絶をめざして』、服部学著、東研出版、1982年、p33)

 (注2)棄民の群島 : ミクロネシア被爆民の記録 - 国立国会図書館デジタルコレクション

 (注3)彼らにとっての外交問題とはロシアを意味するということである。中国もある程度含まれるが、ほとんどロシアである。ロシアが常に彼らの意識にのしかかっている。彼らは戦争を恐れ、自分たちの生活水準が低下するかもしれないことを恐れている。たぶん私のために開かれたある晩餐会での出来ごとを私は忘れないだろう。客のなかの一人のジャーナリストが、ソヴィエトに予告なしに原子爆弾を投下するべきであると主張し、一座の賛同を受けて「死んでしまえば仲間はいない」という言葉を不正確にもオリヴァー・クロムウェルの言葉だとして引用した。
 「うまい言葉だろ?。トム」
 彼はもう一人のジャーナリストに呼びかけた。「死んでしまえば仲間はいない」
 トムはそれがうまい言葉だと同意した。「死んでしまえば仲間はいない」彼らは晩餐会のあいだじゅう声を合わせ、あるいはかわるがわるその言葉を唱えていた。
 彼らは教養ある人間だったが、ことロシアとなると彼らの顔には血がのぼり、人間味が消えた。私の他には誰もそのような言動に愕然とした者はなかったようだった。誰も驚いたりしなかったし、主催者の女性はあとで、その晩餐会が大成功だったと喜んでいた。アメリカを理解しようと思うすべての人びとは、ロシアにかんするこの強迫観念を知らなければいけない。それがいくぶんかは、われわれにたいする関心の欠如の説明となる。(「アメリカ合衆国」『E.M.フォ-スタ-著作集 12』、みすず書房、1994年、p250~251、改行を加え読みやすく編集しました)

0 件のコメント:

コメントを投稿