2024年10月20日日曜日

生きる力を育てる

 力持ちとは、筋肉の力のことです。では、生きる力とは何の力でしょうか。私は、脳の力、特に、前頭葉の力(機能)が生きる力になっていると思っています。ちなみに、脳の力でも、旧皮質の力は生命力のことである。このように考えると、前頭葉を絶えず使って鍛えることが生きる力を育てることになります。
 作家の藤原審爾さんによると、「生きる力は毎日の生活のなかで育つ。たとえば、おいしい料理を作ること。苦労して生活をより快適にする工夫のなかから、それは生まれる」(1977年9月11日、赤旗日曜版)と書いています。また藤原審爾さんは、「快い芸術とのふれあいの積み重ね」も生きる力をつけるとも言っています。よく考えると、これらはすべて、前頭葉に関係するものばかりです。
 問題は、意識してこれらのことをやるかどうかです。何の気もなく生きていれば、ただ時間が過ぎていくだけであり、生きる力が育つことはありません。意識しておいしい料理を作ったり、生活を快適に工夫したりすることが必要なのです。野球を観戦するときだって、なんとなしに観戦するのではなく、なぜ投手が打たれているか考えたり、打者の心理を予想したり、と能動的に観戦すれば、前頭葉が働き生きる力を育てることになるのです。
 しかし、何事もバランスが大事であり、片一方に偏ってはいけなません。生きる力が大切と言っても、前頭葉を働かせるようなことばかりの生活も良くないような気がします。生きる力を育てることを忘れなければ、十分に頭を使ったら、のんびりと受動的に野球を観戦したり、ドラマを見たりするのも必要だと思います。これが、生活におけるO N ,OFFというものではないでしょうか。
 そういえば、O N ,OFFの生活の一例を思い出しました。それは、「私は七十五歳の現在も、どうやら毎日、原稿用紙に向っているし、その間は精神の戯れに喜びを覚え、仕事が終ると、教室から解放された中学生のように、やはり愉快な気分のなかで、好きな本をとりあげるのである」(「老年の生き方について」『人生を愛するには 仙渓草堂閑談』、中村真一郎著、文芸春秋、1995年、p51)というものです。一仕事を終えて、が”O N”で、ホッとして好き本をとりあげる、が”OFF”です。このような快適な生活を工夫することで、生きる力をが育てられるのだと思います。

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