2024年9月30日月曜日

”現在に生きる”実例

 著書『94歳セツの新聞ちぎり絵日記』(木村セツ著、里山社、2023年)の書評(注)に、「セツさんのように、大切な人や好きなことを自分の中に抱き続けていたい」とあり、そうした生き方に、老後の生き方の実例を見せてもらったような気になりました。
 老後の不安と言ったら、健康に関する不安と孤独感に対する不安が主要なものだと思います。ですから、セツさんのように心の中の住人と対話ができれば、孤独感を抱くようなこともなくなるのではないでしょうか。
 いや、そうとばかり言えません。好きなことをやり、その成果でもある”ちぎり絵”という作品があります。その過程そのものが”現在に生きる”ことになります。つまり、セツさんの”ちぎり絵制作の過程”は、仏教でいうところの”空の実践”そのものであり、それゆえ、救いにもなってきたに違いありません。
 
(注)セツさんの中には、亡き人たちも一緒に生きていて、いつも大切にされているのだ。当店ではこれまでセッさんの個展を4回開催したが「回を重ねるごとにクオリティーがあがっている」という声を聞く。ちぎり絵に添えられた文章にも、チャーミングなセツさんの人柄がにじみでている。
 セツさんのように、大切な人や好きなことを自分の中に抱き続けていたい。年を重ねるのは面白い。若い頃に戻りたいとも思わない。でも、やっぱり、祖母が心を寄せていた人の話を聞いてみたかった。(山陽堂書店、遠山秀子著『暮しの手帖』、2024年10−11月号、p151)

0 件のコメント:

コメントを投稿