2024年9月7日土曜日

未来への贈り物『新訳註の新約聖書』

  キリスト教について、興味と同時に謎があります。興味と同時に謎があります。内村鑑三のような優れた人物を産み、キリスト教が日本に伝わってきた頃、多くの信者を虜にしてきたから興味が尽きないのですが、一方で、キリストの名で戦争を始めた歴史があるわけですが、そうした信じられない側面もある点が謎なのです。ですから、「信仰の源泉となる聖書に誤訳や訳者の意図で趣旨を曲げられた箇所がある」(注)という指摘には驚きました。しかも、「ギリシャ語原文の一語一句を可能な限り正確な日本語に訳し、詳細な註を付けた。全てを一人でなしとげ、完成まで13年かけて全7巻8冊となった」(注)というのですから、脱帽です。その努力の一端でも触れてみたいです。なんらかの新しい発見があるかもしれません。

 (注)田川建三訳註『新約聖書』(作品社)。かつて学生運動の嵐が吹き荒れた頃、不正義と闘う真摯な学生たちを見殺しにできなかった著者は結果的に大学を追われた。そんな著者の誠実さは生涯変わらない。信仰の源泉となる聖書に誤訳や訳者の意図で趣旨を曲げられた箇所があることを許せず、ギリシャ語原文の一語一句を可能な限り正確な日本語に訳し、詳細な註を付けた。全てを一人でなしとげ、完成まで13年かけて全7巻8冊となった大作は、信仰の支えとして、あるいは研究の起点として長く読み継がれるだろう、平成日本が残した未来への贈り物だ。(「武田徹氏による書評」『サンデー毎日』、2018年1月7・14日、p125)

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