2024年6月19日水曜日

ニーチェの物質文明社会批判

 以前「核の脅威のない未来を築く」において、核戦争の脅威のない未来を築くためには、現代の物質主義・技術主義的な価値観からの離脱が必要であり、そのためには、ゲーテによる「性急な行動による暴力・蛮行」が横行する物質文明社会批判に耳を傾けるべき、と述べました。
 実は、哲学者のニーチェも「落ち着き不足から、我々の市民社会には新しい野蛮性が拡大する」と、次のように文明批判をしていました。
 ゲーテが早くから気づいていたことを、後にニーチェが(「『人間的、あまりにも人間的な』で)次のように文章化した。「落ち着き不足から、我々の市民社会には新しい野蛮性が拡大する。行動する人々、すなわち落ち着きを失った人々は、時間の無いことにより価値を置く。ゆえに人間がもつ性質の、穏やかでゆったりした要素を大幅に強化するよう取り組まねばならない」。(『ファウストとホムンクルス:ゲーテと近代の悪魔的速度』、マンフレート・オステン著、慶應義塾大学出版会、2009年、p34)
 ニーチェの言葉には、続きがありました。
 けれども、心と頭のなかが安静で堅固になっている個々人は誰しもすでに、自分がたんに良い気質ばかりでなく、一つの普遍的に有益な徳を所有しており、この徳の維持によって一つの高級な任務をさえ遂行するのだと信ずる権利を持っているのである。(『ニーチェ全集6「人間的、あまりにも人間的な」』、白水社、1980年、 p261)
 このところを読むと、「穏やかでゆったりした要素を大幅に強化するよう」取り組むことで、戦争気分も一掃されそうな気持ちになってしまいます。もちろん、「「落ち着き不足から、我々の市民社会には新しい野蛮性が拡大する」というのが真ならば、という条件付ですが。

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