2024年5月27日月曜日

核の脅威のない未来を築く

 核兵器による脅威は地球的な規模に及びます。人類の滅亡さえ危惧されているのです。しかし、地球文明は永久に続くであろうという錯覚に陥っているようです。ですから、『核時代は超えられるか』という問いが気になって読んでみました。その答えは簡単で、次に紹介したように「核戦争の脅威のない未来を築くためには、現代の物質主義・技術主義的な価値観からの離脱が必要」ということでした。ここでは、「世界はどうすれば、産業革命から三百年も続いた価値観を乗り越えられる」か、その答えは示されていません。
 私は、ゲーテがその答えを示してくれているように考えました。ファウストは、「性急な行動による暴力・蛮行による問題解決を繰り返す」(『ファウストとホムンクルス:ゲーテと近代の悪魔的速度』、マンフレート・オステン著、慶應義塾大学出版会、2009年、p40)ようですが、ゲーテは
『ファウスト』の中で、見事に今日の社会を見通していて、今日のような「性急な行動による暴力・蛮行」が横行する物質文明社会を批判していたからです。
 文明批判は、根本的な解決として重要なことですが、具体的に即実行できることとして、非核都市宣言を促し、かつ、核兵器禁止条約批准を求める請願を求める、そうした活動をしていくべきではないでしょうか。そうしたい、そう思いました。

 人間はその持ち前の才能を発揮して、すばらしい物質文明を築いてきた。だが誤ってその中に死ぬためのメカニズムを組み込んでしまった。現代の技術文明が約束してくれる安楽な生活にひたって、人間はその中に全体的な減亡の可能性が仕掛けられていることを忘れている。これに過ぎる文明のパラドックスはあるまい。
 核戦争の脅威のない未来を築くためには、現代の物質主義・技術主義的な価値観からの離脱が必要ではないだろうか。もしそうだとすれば、世界はどうすれば、産業革命から三百年も続いた価値観を乗り越えられるだろうか。また核戦争による破滅が、そうした歴史的な転換を待ってくれるだろうか。
 そして最後に人間にとって、平和とは何なのか。
 ともあれいま緊急に必要なのは「運命の日の時計」の針を、少しでも押し戻して、時間をかせぐことである。時間をかせぐのはその間に、核による破滅の危険のない未来のビジョンを模索するためである。『核時代は超えられるか:この狂気の実態』、毎日新聞社外信部著、築地書館、1982年、p198)

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