ヘーゲルは近代を、全体としては肯定的にとらえた人です。否定だけでは取りこぼしかねない現実の大きさ、不合理で非理性的なものも含め目をこらし見晴らす。そうやって歴史を発展過程として見ようとした。(上「コラム」)ヘーゲルが「近代を、全体としては肯定的にとらえた」というところに私の琴線が反応しました。一般に戦後を否定的に捉える傾向がありました。そこに私は不満があったのです。私は、戦後を「全体として肯定的にとらえること」が重要だと思ってきたからです。だからこそ、ヘーゲルの視点が心に響いてきたのかもしれません。
長谷川宏さんの最近の本『日本精神史近代篇』(講談社、2013年)で、版画家香月泰男の言葉「人間が人間に命令服従を強請して、死に追いやることが許されるだろうか。民族のため、国家のため、朕のため、などと美名をでっち上げて・・・・」(p339)を紹介していました。作品《朕》について語った言葉だそうです。
このような芸術作品が発表し、天皇制を批判した文章を書けるのも、そうした画家の思想を紹介できるのも、戦後社会の肯定的な側面である、と改めて認識し直すことができました。
0 件のコメント:
コメントを投稿