2024年5月2日木曜日

一日一日と死につつある

  セネカ倫理書簡集というものを読み始めました。なんと、手紙ごとに要旨が掲載されて、これなら全てのすべての手紙に目が通せそうです。この書簡集は、セネカ哲学全集で二巻に収まる分量ですが、これまた、なんと、皇帝ネローに強いられる形で自殺に追いやられるまでの三年間に書かれたものだということです。解説を読んで知りました。ですから、倫理書簡集執筆当時のセネカの心境を想像すると、セネカの忠告が身に沁みます。セネカは時間の大切さを次のように、最初に忠告していたのです。「もっとも恥ずべき(時間の)損失は怠慢のせいで起きるものだそれに、君がよく注意しようと思っていても、人生はこぼれ落ちる。大部分はなすべきではないことをしているあいだに、もっとも多くは何もしないあいだに、全人生は筋違いのことをしているあいだに・・・」など、耳が痛い話が続きます。

 わがルーキーリウスよ、君がなすべきことを言おう。それは君自身の権利を護ること、これまでに奪い去られたか、くすね取られたか、あるいは、こぼれ落ちたかした時間をかき集めて守ることだ。君が心得るべきことを次に記す。
 私たちの時間はときに奪い取られ、ときに削り取られ、ときに流れ去る。だが、もっとも恥ずべき損失は怠慢のせいで起きるものだ。それに、君がよく注意しようと思っていても、人生はこぼれ落ちる。大部分はなすべきではないことをしているあいだに、もっとも多くは何もしないあいだに、全人生は筋違いのことをしているあいだに。
 誰か知っているなら教えてほしい。誰が時間にそれだけの価値を認めているか。誰が毎日の価値評価をしているか。自分が一日一日と死につつあることを誰が理解しているか。実際、私たちの勘違いは私たちが死を遠くに見ていることにある。だが、その大部分はすでに過ぎ去ってしまっており、通り過ぎた年月はすべて死の掌中にある。だから、わがルーキーリウスよ、君がなすべきは君が行っていると手紙に記されていること、一時間たりとも無駄に費やさぬことだ。明日を当てにすることを少なくしようとするためには、今日をしっかりと確保しておけばよい。先延ばししているあいだに人生は走り過ぎてしまうのだから。”以下略”(『セネカ哲学全集 5』、セネカ著、岩波書店、2005年、p3、改行を加えて引用しました)
 なお、要旨は、「君の持ち物のうちで時間だけは君自身のものだから、何よりも大切にして少しも無駄に使ってはならない。それは気づかないうちにすぐに消え去るのだから、今君がしている通り、今をしっかり生きることを守りたまえ」(p4)です。

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