法律によって、どれだけ憲法を蝕もうとも、憲法である9条はが死ぬようなことはありえない。なぜなら、憲法第九八条に「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」とあるからだ。
さらに、何よりも憲法9条が現実的な力を持って、その力を発揮してきたし、現に今も力を発揮し続けている。加藤周一氏によれば、「九条は、それ以上踏み出すことを抑えている」。「つまり、特措法をつくらないと海外派兵をできなくしている」し、「その特措法に期限を設けているのも九条による圧力」だと、次のように説明している。
憲法九条は、戦争と武力の行使を否定していますから、憲法を侵さずに軍隊を海外に派遣することはできない。あえてそれを行うために、特措法、期限を設定した特別措置法をつくっているわけです。しかし、それでもそれは違憲ではないかという問いが、当然、出てくる。いま、その事象そのものの合憲・違憲には立ち入らずに、九条がどこに効いているかということだけを考えると、この「違憲ではないか」というところに効いているのだと思う。違憲であるにしろないにしろ、九条は、それ以上踏み出すことを抑えているのです。つまり、特措法をつくらないと海外派兵をできなくしている。その特措法に期限を設けているのも九条による圧力です。
改憲運動がねらっているのは、これらの活動、つまり国際社会の要請――すなわちアメリカの要請――であるといわれるこれらの活動を行うために、手枷足枷である九条を変えることです。給油の期限延長だけではなく、心おきなくアフガニスタンの戦争にも、イラクの戦争にも参加できるようにすることです。(加藤周一著「実効性ある行動力を受け継ぐ」『憲法九条、あしたを変える 小田実の志を受けついで』、井上ひさし他著、岩波書店、2008年、P26)
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