2022年7月1日金曜日

軍事力で「人類の至上の価値」を守れるか

 朝日新聞(2022年7月1日)(異論のススメ スペシャル)佐伯啓思著「『普遍的価値』を問い直す」を読んだが、なぜかスッキリしなかった。納得できない論旨は次の二点だ。納得はできないが、どのようにおかしいのかを直ぐにはわからなかった。以下考察してみる。
1、「自由、民主主義、人権、法の支配」こそ人類の至上の価値だというのなら、それを守るためにも、その敵対者と対決するだけの軍事力を持たねばならないであろう。

2、今日、世界の構造は著しく不安定化している。日本の憲法9条の平和主義は事実上条件付きのものである、なぜなら、9条の武力放棄は、前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」を受けているからだ。だが今日の世界ではもはやこの条件は成立していない。
 1の問題点は、「人類の至上の価値」を守るためには、軍事力以外にもあることを無視している。その上、「敵対者と対決するだけの軍事力」を持とうとすれば、相当の軍事力アップをしなければならない。そのことも触れていない。何よりも、軍事力を使った時点で、「人類の至上の価値」は、破壊されてしまう。
 2の問題点は、前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という条件は、もともと成立していなかった。前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という条件が満たされていないのは、今に始まったことではなかったのだ。だから日本国憲法は、そういう国際社会を作ろうとしたと言って良い。にもかかわらず、そうした努力をせずに、「今日の世界もはやこの条件は成立していない」と切り捨ててしまうのは、早計な結論でしかない。

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