2022年7月7日木曜日

「防衛力強化求める」過ちの声

 朝日新聞地方版の見出し記事「防衛力強化求める意見書、『異例』の修正可決」が目に止まった。「自民党が福島県議会6月定例会に提出した、政府に防衛力強化を求める意見書が『異例』の手直しを経て県議会総務委員会で5日、可決された」(笠井哲也、2022年7月6日)というものだ。この記事を読んで、ポツダム宣言の一部を知っても、次のように徹底抗戦を訴えていたマスコミの姿勢を思い出した。「防衛力強化求める」勇ましさと、「断固戦争完遂に邁進するのみ」と報じる勇ましさに同じような匂いを感じ、空恐ろしくなってしまった。
 (1945年7月)二十八日の各朝刊紙は内閣情報局の指令のもとに、ポツダム宣言を国民に発表した。ただし、国民のの戦意を低下させる条項は削除し、政府の公式見解は発表せず、新聞はできるだけ小さく調子を下げて取扱った。そして、国民の戦意を低下させぬようにという配慮から、かえって紙面には戦意昂揚をはかる強気の文字があらわれた。読売報知は「笑止、対日降伏条件」と題して要旨をかかげ「戦争完遂に邁進、帝国政府問題とせず」とうたった。朝日新聞は「政府は黙殺」と二段見出しでかかげ、毎日新聞は「笑止! 米英蔣共同宣言、自惚れを撃砕せん、聖戦を飽くまで完遂」と壮語した。(『日本のいちばん長い日 運命の八月十五日』、半藤一利著、文芸春秋、1995年、p 12)

  実は、ポツダム宣のおわりには「われらは右条件より離脱することなかるべし」とあり、「それ以外にはいかなる交渉にも工作にも応じないというのが連合国の意志であった。にもかかわらず、最高戦争指導会議でも閣議でも、これを"最後通牒"とみなしたものはひとりもいなかった」。だから、「国民のの戦意を低下させる条項は削除し、政府の公式見解は発表せず、新聞はできるだけ小さく調子を下げて取扱」うようになってしまった。それにしても、これほどまでに、戦争完遂の意志が強かったとは驚きだ。
 当時の朝日新聞を調べてみたら、「政府は黙殺」という見出しのもと、「共同声明に関してはなんら価値あるものに非ずとしてこれを黙殺すると共に、断固戦争完遂に邁進するのみとの決意を更に固めている」と報じていた。今では、こうした姿勢が過ちであったことは明白だ。
「防衛力強化求める」声が過ちであることは、歴史が証明するであろう。

「聞蔵IIビジュアル(朝日新聞記事データベース)」より

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