今まで、「次から次に、恋して愛して・・・」という『源氏物語』について、あまりいい印象を持っていなかった。当時は一夫多妻だったことを知らず、なんという男だと思ってしまったのだ。しかし、当時の社会風習というものを知り、源氏に関わった女性の多くが出家していたことを知って、源氏物語の見方が変わってしまった。そして、女性の視点に立って源氏物語を読めば、何か、新しい発見、現代に通じる発見があるかもしれない。
つまり、女性の立場に立てば、現代では想像もつかない苦しみがあったに違いない。「招婿婚で一夫多妻のときの妻は、非常に寂しい思いをするし、苦しい思いも」(『百歳いつまでも書いていたい 小説家・瀬戸内寂聴の生きかた』、瀬戸内寂聴著、NHK出版、2022年、p16)するという。『蜻蛉日記』は、「後世の人よ、わたしのこの結婚の苦しみを知ってほしい」という思いを込めて書かれた、と『百歳いつまでも書いていたい』に紹介されている。
現代社会から、当時の女性の苦しみなど、わかるだろうか、という思いもあるが、そうした心の動きを想像することはできる。そのような過程を通して、当時の社会というものも想像することができるに違いない。つまり、文学を味わうことで、日本の歴史を生きた歴史として認識し直す頃ができるのではないだろうか。そんな読書を、一度してみたいものである。
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