ピカソは、多くの作品を残していることでも有名だが、北斎は、ピカソに並ぶほどの作品を残したのではないだろうか。しかし、ピカソの場合、青の時代とか、バラ色の時代といった時代区分と作品の発展(成長)過程が明確であるのに対し、北斎の場合、手がけた作品の範疇は多方面のわたり、それらの発展過程は必ずしも明確ではない。
例えば、肉筆画帖に描かれたという「蛇と小鳥」は、全くの写実画のようで「このような絵も描いていたんだ」と驚いた絵の一つだ。これらが、多くの浮世絵や北斎漫画と、どのような関係にあるのか、全くわからないことに気づいた。
また、多くの画号を用いたことでも有名だが、この点に関しては、絶えざる脱皮を通しての高みを目指したであろうことは、ピカソに似ている。その似た点というのが、「創作意欲の強さ」である。その典型、あるいはその証拠とも言えるのが、ここに示した「百」という落款である。北斎は、90歳で逝去しているが、この落款には「百歳まで絵を描き続けたい」という強い意志が滲んでいると言えよう。

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