斎藤さんは、新しい新資料を読みながら資本論を再解釈して、マルクスに新しい視点を与えている。その最たるものが、「生産者の私的所有を再建することはせず、資本主義時代の成果を基礎とする個人的所有をつくりだす。すなわち、協業と、地球と労働によって生産された生産手段をコモンによって占有することを基礎とする個人的所有を再建する」ということ、つまり、「誰もが必要とする社会の富は、共有材としてみんなでシェアしていくことで、豊かなコモン(共有財産)の領域を広げていこう」ということである。このような思想に関する、次のようなマルクスの言葉も紹介していた。
アソシエートした 生産者が、盲目的な力に支配されるように自分たちと自然との物質代謝によって支配されることをやめて、この物質代謝を合理的なものに規制し、自分たちの共同的な制御の下に置くと言うこと、つまり最小の力の消費によって、自分たちの人間性に最もふさわしく最も適合した条件のもとでこの物質代謝を行うこと(資本論第三巻草稿、アソシエーション:自発的な結社)
より高度な経済的社会構成体の立場から見れば、個々人による地球の私的所有は、ある人間による、他の人間の知的所有と同様にまったく馬鹿げたものとして現れるだろう。 1つの社会全体でさえ、1つの国でさえ、いな、同時代のすべての社会を一緒にしたものでさえ、地球の所有者ではない。それらは地球の占有者、地球の用益者に過ぎないのであり、よき家父として、これを改良して次の世代に遺さなければならないのである。(資本論第三巻草稿)
マルクスの言葉で印象的なところが、「盲目的な力に支配されるように自分たちと自然との物質代謝によって支配されることをやめて、この物質代謝を合理的なものに規制し、自分たちの共同的な制御の下に置く」と、「人間性に最もふさわしく最も適合した条件のもとでこの物質代謝を行う」、「より高度な経済的社会構成体の立場から見れば、個々人による地球の私的所有は、ある人間による、他の人間の知的所有と同様にまったく馬鹿げたものとして現れるだろう」で、いづれも、コモンを説明している内容となっている。
また、資本主義社会では、労働が歪められ、自然が歪められ、人と自然の循環が乱されている。そんな姿は、労働環境の悪化、自然破壊などで表面化してきている。こんな状態をマルクスは、資本主義社会は「修復不可能な亀裂を生じさせる諸条件を生み出す」と次のように表現していた。政府は、「新しい資本主義」を目指すらしいが、新しいの一言が付こうとも、こうした資本主義の本質は変わりようがないであろう。
大土地所有は、社会的な物質代謝と自然的な、土地の自然諸法則に規定された物質代謝の連関のなかで修復不可能な亀裂を生じさせる諸条件を生み出すのであり、その結果、地力を浪費させ、この浪費は商業を通じて自国の国境を超えて遠くまで広められる。(資本論第三巻草稿)
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