安倍元首相や菅首相が、国会答弁で”まとも”に答えず、決まり文句を繰り返す答弁が目立った。全く質問者、強いては国民を愚弄する答弁だが、一向に無くならない。実は、ナチズムを裁いたアイヒマンの裁判で、アイヒマンも決まり文句の答弁を繰り返していたことを知って驚き、そして納得した。ヒトラーに学べというようなことを閣僚が言ったことを思い出したが、決まり文句の答弁を繰り返すことは、アイヒマンに学んだのかもしれない。
アイヒマンの裁判は1961年4月に始まり、1962年5月に死刑判決が出て、アイヒマンは校首刑になった。アーレントはこの裁判を傍聴していて、その報告は雑誌「ニューヨーカー」に5回にわたって掲載され、その後、『エイェルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』(ハンナ・アーレント著、みすず書房、1994年)として出版されている。
アイヒマンは、
「権力のある地位にいた連中」が自分の「服従」を悪用したと訴えた。だが、アーレントは彼の罪を軽視してはいなかった、と矢野さんは指摘する。
「アイヒマンは裁判中、重要な事柄に言及するたびに同じ決まり文句を繰り返した。紋切り型の言葉に逃げ込んで、現実を見ないようにしていたんです。自己欺瞞に満ちていて、何よりも他の人の立場にたって物事を見る想像力が圧倒的に欠けていた」。(石井千湖著『週刊文春』、2021年4月8日、p102)
全く、今の政局を批判されているようである。続けて、思考放棄の恐ろしさを次のように書かれていた。
「悪は、誰かを虐げたいというサディスティックな欲望 や、憎悪から生まれるものとはかぎらない。一人ひとりが思考を放棄して官僚機構のような画一化・自動化したシステムに順応することによって、巨大な悪を意図せず行ってしまうことがあることをアーレントは痛感していたのでしょう」(上同)
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