バイデン氏は、アメリカとその同盟国を「民主主義国」、中国を「専制主義国」と位置づけ、両者の対立を演出してきている。果たして、そのように世界を二分してしまっていいのだろうか。アメリカにも、中国にも、「民主的」側面と「専制的」側面が存在しているからだ。特に、次に紹介するような「アメリカにおける強固な民主主義の伝統」の流れは、日本国憲法にも入ってきているだけに、色あせることのないアメリカ民主主義をしっかりと見つめ、手を組んでいく必要がある。
アメリカ政府および軍部には、核兵器による軍事覇権を目指すうえでのあまりに非人道的な姿勢と行動が存在する一方、アメリカ人およびアメリカ社会には、それに真正面から「NO」を突きつける強固な民主主義の伝統があるということです。
後者を代表する人物のひとりが、本文中でも少し触れた、元アメリカ海軍の提督、ジーン・ラロック氏です。
もう半世紀近く前の一九七四年、退役後まもないラロック元提督は、アメリカ議会で核兵器を積んだアメリカ軍艦船の頻繁な日本への寄港について証言し、日本では大きな反響を呼びました。
ラロック氏は一九一八年生まれでしたが、一九七二年に海軍を退役すると、仲間の何人もの元米軍高級将校たちとともに、
「巨額の軍事費は、大幅に削減すべきだ」
「核戦争の危険をはらむ大規模な軍拡は、やめるべきだ」
と広く米国の一般市民に呼びかける活動をおこなっていました。そして国民にアメリカの軍事の実態を知ってもらおうと、軍事情報をわかりやすく伝える小さな月刊誌も刊行していました。(『密約の戦後史 日本は「アメリカの核戦争基地」である』、新原昭治著、創元社、2021年、p251)
沖縄に住んでいる政治学者C.ダグラス・ラミスも、ジーン・ラロック氏と同じ退役軍人だった。かつて海兵隊員として沖縄に駐留し、いまふたたびそこで暮らしながら、憲法9条、日米安全保障条約、米軍基地、9・11以後のアメリカの対テロ戦争など多方面にわたって発言し、たとえば次のような著書も出しており、勇気付けられる。
『ラディカルな日本国憲法』、C・ダグラス・ラミス著、晶文社、1987年 『要石:沖縄と憲法9条』、 C.ダグラス・ラミス著、晶文社、2010年
『やさしいことばで日本国憲法 新訳条文+英文憲法+憲法全文』、池田香代子訳、C.ダグラス・ラミス監修・解説、マガジンハウス、2017年
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