2021年6月11日金曜日

恐怖の循環構造から脱却を

 昨日に続き、国土学アナリスト・大石久和氏の警告を聞く。
 スイスにあるIMDという機関が、いろんな指標から各国の競争力ランクを計算して発表している。この機関によるランク付けで、かつては、日本が2位とか、3位になっていた時期がある。ところが、2019年5月の日本経済新聞には、「日本の競争力が30位に落ちた」との報道されるようになってしまった。このような「世界における日本の凋落ぶりは、いろんな指標に表れていて『日本よ、なんとかしろ』と警告しているのに、この国は愚かにも、財政再建至上主義を謳い続けて、強化されて来なかった堤防の破堤に加え、増税によるデフレの促進、デフレによる勤労者の貧困化、その貧困化による消費の低迷、その低迷による経済の非成長、その非成長による税収の低迷という恐怖の循環構造から脱却できないでいる」(『道21世紀新聞』、2020年1月号、人と道研究会)というのだ。
 近年、雨量強度が非常に強くなり、気象の凶暴化ともいうべき現象が生じているのに、防災インフラ整備のための事業費年々削減され続け、「25年前に比して半減してしまった」(上同、2020年8月号)。異常気象は、温暖化による影響もあると言われ、世界の趨勢は、再生可能エネルギーに重点を移しつつある。しかし、日本は、世界から取り残されつつある。国別の浮力発電導入量を見ると、一目瞭然にわかる。
 道路標識だったかに、「そんなに急いで、どこに行く」というのがあった。今の日本にこそ、「そんなに急いで、どこに行く」と問いたい。今こそ、目先ではなく、人類史的観点に立って、国民目線の施策に変換してほしい、と。そうでなければ、恐怖の循環構造から脱却できない。それが心配だ。

(「『朝日新聞グローブ』、2021年6月6日号」より)
 追記
  大石久和氏は、こんな興味あることも書いていた。
 アインシュタインとタイピストという有名な命題があります。あの大物理学者のアインシュタインがトップ級の腕を持つタイピストだったとしても、やはり彼にはタイプを打たせるよりは研究に没頭させた方が世のためになるという話です。
 日本はアインシュタインにせっせとタイプを打たせ、わずかな人員削減効果だけを祝っています。日本の競争力が30位となったのは、財政再建至上主義の必然なのでした。(『道21世紀新聞』、2020年1月号、人と道研究会)

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