2020年3月23日月曜日

死刑も禁止していた植木憲法草案

 日本国憲法には、日本における自由民権運動の過程で生まれた憲法草案が色濃く反映されていると言われている。マッカーサーが憲法草案を作成するにあたって、民間草案を非常に重視したことが、GHQで草案を起草した要員による証言によって明らかになっているからでもある。
 植木枝盛(1857年-1892年)の憲法草案の主な内容を知って、なるほど、日本国憲法には自由民権運動を戦った先人の知恵が色濃く反映されている、と実感することができた。
 植木枝盛憲法草案の主な内容は、一部ではあるが次の通り。
 なお、5の死刑に関して、日本国憲法では、31条で、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない」と定め、法律の定める手続によれば、人の生命を奪っても良い、と殺人を公認している。

1、基本的人権の保障について
 実に精細をきわめておりまして、保障すべきものとして列挙されている人権のカタログが豊富であるばかりでなくして、それが「公共の福祉」なんていうあいまいなもので簡単に制限することができないよう周到に保障されている。
 まず第一に、「日本ノ国家ハ日本各人ノ自由権利ヲ殺減スル規則ヲ作リテ之ヲ行フヲ得ズ」という総則で網をかぶせまして、やたらに基本的人権を縮小できないように定めてある。それから「日本人民ハ思想ノ自由ヲ有ス」。これも、明治憲法にはなく、はじめて日本国憲法で制定されたもので、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」という日本国憲法の規定がありますが、それと一致しています。

2、教育の自由
ついて
「日本人民ハ何等ノ教授ヲナシ何等ノ学ヲナスモ自由トス」。教育の自由と学習の自由とが一体のものとして保障されております。この点では「学問の自由は、これを保障する」とだけしか書いていない本国憲法よりもっとクリアーに教育の自由を保障しているわけです。 

3、国籍離脱の自由ついて
 日本国憲法に、国籍離脱の自由があることはご承知と思います。これは世界的にも珍しい規定だそうでありますが、これが植木憲法にもあるのです。「日本人民ハ日本国ヲ辞スルコト自由トス」。これも日本国憲法と瓜二つと言ってよいのであります。 

4、拷問の禁止
ついて
「日本人民ハ拷問ヲ加ヘラルルコトナシ」、こういう規定も日本国憲法とよく対応しております。

5、死刑の禁止ついて
「残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」という日本国憲法よりもいっそう進んでいると思うのですが、死刑を禁止しているのです。植木枝盛は「日本ノ人民ハ何等ノ罪アリト雖モ生命ヲ奪ハレザル可シ」という形で、一切の罪に対して死刑を禁止しております。    
 死刑と戦争とは、どちらも人殺しの公認でありまして、国家が殺人を公認する以上、世の中に血なまぐさい事件が絶えない、という思想が昔から少数意見ながら続いてきましてだんだん多数意見になりつつあります。ただ日本では実現するにはいたっておりません。

6、戦争放棄について
 憲法草案の中には出てまいりませんが、植木は今の日本国憲法と同じように、軍備の縮小からさらに進んで軍備の全廃、世界連合政府による国際平和の保障による戦争の放棄を理想として「無上政法論」、つまり最高の国際法規を作り、戦争を放棄することを理想として唱えているのですが、これが日本国憲法の第九条や前文と対応しております。(「立志社憲法草案の歴史的意義」『歴史と責任』、中央大学出版部、1979年、p231〜232から箇条書きに抜粋編集)


0 件のコメント:

コメントを投稿