世界における戦火の勢いが増してきているのでしょうか。停戦の働きかけがあるにも関わらず、無視されているからです。どうすればいいのでしょうか。半藤一利さんが「大小の戦乱の絶えることのない現代世界にあって、非戦を説きつづけることは、夢みたいな理想をただ語っているにすぎないのか、とあえて疑問を呈した」(『墨子よみがえる “非戦”への奮闘努力のために』、半藤一利著、平凡社、2021年、p236)ことがあります。その疑問に対する答えを聞いてみましょう。
いいですか、たった一発の原子爆弾で広島を潰滅させたときから、人類は滅亡への第一歩を踏みだしたのです。もともと自然界に存在しないウラニウム25をつくりだし、それを燃料としているのが原子力なのです。根本的に自然に逆らっている。結果的に、天の意思にそむき、自分たちで制御できない"死の兵器"を自分たちの手でつくりだしたのです。ですから、核兵器廃絶の道以外に人類の明日はないのです。どうでしょうか。
なるほど、その実現はまだはるか彼方としても、せめてその第一歩として、「核の先制攻撃の禁止」をまず日本は世界的に働きかけるべきなのです。それだけでも地球の明日のためになる。スタートになる。いまからでも間に合います。東日本大震災での放射能問題を考えただけでも、もし極小の核兵器をゲリラが使ったら、の恐怖の想定は容易にできます。そのためにも、墨子の精神すなわち第九条の精神を単に守るだけでなく、より大きな力のあるものとし、世界にむかって発信しようと、強く訴えているのです。(『墨子よみがえる “非戦”への奮闘努力のために』、半藤一利著、平凡社、2021年、p237)
結局、「9条を実行する」ということになりますが、柄谷行人によれば、「これは憲法を護るということとは異なる。これを実行するためには、革命に等しい変革が必要である。が、それは、不可能ではない。軍備を拡大し、戦争に勝ち抜くことに比べれば、はるかに実現可能性が高い」(柄谷行人著、「9条を実行する」(『これからどうする 未来のつくり方』、岩波書店、2013年、p3)のです。
理性(理想)の重要性について述べた名言があります。「光線は音もなく感ずべきほどの圧力もないが厳存する。人間の理性も音もなく圧力もないが厳存する。而して光線を無視する生物が亡ぶ如く、理性を無視する者も亡ぶ」(正木ひろし著『日本平和論体系・12』、家永三郎編、日本図書センター、p209)です。9条も世界を照らす光のようなものです。
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