2023年11月20日月曜日

模倣と創造

 多くの画家が、名作の模写を通して技術を磨いてきたことは知っていました。マティスも多くの模写をしていました。「ルーブル美術館で数々の名作の模写に打ち込んで」(*)いたのです。シャルダンの『赤エイ』模写は6年以上の年月をかけて完成させたそうで、その熱意に感心してしまいました。『マティスを旅する』には模写した『赤エイ』が飾られた部屋の写真がありましたが、模写そのものが立派な作品になっていたのです。
 このように、芸術の分野においては公然と模倣が行われてきました。というより、積極的に”模倣による学び”が推奨されていたと言っても過言ではありませんでした。しかし、他人の文章の引用を多用した場合など、「創造性のなさを人に示すようで」と考えてしまうです。文章の模倣は、あまりよく思われないのです。そうした傾向に異論を唱えたのが板倉聖宣さんです。
 模倣は悪いことではない。他人のすぐれた考え、すぐれた文章は、いいと思ったらどしどしとり入れるのがいいのだ。そうすれば、その原著者の思想を自分のものとすることができるし、その原著者の気のつかなかったことまでも気づくようになり、新しい創造の世界をきりひらくことができるようになるだろう。(『模倣と創造 科学・教育における研究の作法』、板倉聖宣著、仮説社、1978年、p29)
 どうでしょうか。「気に入った文章、考えがあったら、 それを遠慮なく引用して文章を書くようにするといい」(上同、p30)とも言っています。これまで引用の多い文章を書いてきましたが、これからも、自信を持って引用しながら文章を書いていきたいです。

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