2023年10月6日金曜日

回天と核兵器の狂気

 戦争末期に開発されたという人間魚雷「回天」という兵器があります。 国語の辞書には「① 天下の形勢を一変させること。衰えた勢いをもりかえす意に用いる。② 第二次大戦末期,日本が用いた一人乗り特攻潜水艇。爆薬を積み,敵艦に体当たりした」とありましたが、言葉だけの説明では、実感が湧きません。しかし、爆薬と搭乗員が配置された設計図を目の当たりにすると、このような兵器を作ってしまった戦争の狂気に、背筋が寒くなるような恐怖を感じてしまいます。回天記念館 - 山口県周南市を取材した梯久美子さんも、「人間を人間としてではなく、徹底して兵器として扱う思想に、戦時の狂気を見る思いがした」「『通販生活』、2021年盛夏号、p126」という感想を寄せています。
 なお、「記念館の図録の解説によれば、回天が突入する際、目標艦の側面にほぼ直角にぶつかれば確実に信管が作動するが、浅い角度でぶつかった場合は作動しないこともあった。そのため、衝突の衝撃で搭乗員の体が前のめりになることで、信管のスイッチが入り、自爆する仕組みになっていた。
 突入前に機器のトラブルが起こり、回天が動かなくなった場合も、搭乗員が自ら信管のスイッチを押して自爆することになっていた。秘密兵器とされていた回天が相手側の手に渡ることや搭乗員が捕虜になることを防ぐためである」というのです。やはり、戦争は狂気そのものです。このような狂った兵器まで作ってしまうからです。
 しかし、考えようによっては、どのような兵器にしても、殺人機であることに変わりがありません。回天を作ってしまったのが狂気なら、核兵器を作り、核兵器に頼っている人間どもの方が計り知れない狂気です。どれだけ多くの生物を殺戮してしまうか、その威力の大きさは計り知れないからです。日本国憲法のありがたさが身にしみます。

(「『通販生活』、2021年盛夏号、p125」より)

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