2023年10月10日火曜日

傍観者から『主権者』へ

 民主党政権時代、アメリカの意向で鳩山首相が失脚したらしいことは知っていました。しかし、それだけではなく、田中角栄首相も、アメリカの意向で「政権から放逐され」たというのです。しかも、田中角栄首相が「政権から放逐されて以来、アメリカの許諾なしに国防戦略や外交戦戦略を立案してはならない、ということを日本の指導層は骨の髄まで叩き込まれた」(『やっぱりあきらめきれない民主主義』、内田樹著、水声社、2016年、p75、強調は引用者)というのですから、何がなんでも「辺野古に固執する」訳です。
 その辺の事情を詳しく紹介すると次の通りです。
 戦後七十年間、日本は自力で国防戦略なんか考えたことがない。講和条約の後くらいは考えていたと思う。対米従属を通じての対米自立というトリッキーな戦略を思いついたのはその時の政治家たちだから。でも、七三年の共同声明で、田中角栄がキッシンジャーから「絶対に許さない」と言われて、その後政権から放逐されて以来、アメリカの許諾なしに国防戦略や外交戦戦略を立案してはならない、ということを日本の指導層は骨の髄まで叩き込まれた。それから後は、もう外務省も防衛省もまったく独自で日本の国益を考えて政策立案するという習慣を失ってしまった。アメリカの許諾が確実に得られる政策以外は提案してこなかった。提案しても一発で反古にされることが分かっているわけだから、そんなことのために知的資源を費やす官僚なんか出てくるはずがない。そうやって何十年も演(や)ってきて、今さら、「じゃあ、これからは自力で国益守ってね」って言われても、そもそも自力で国家戦略を立案したことがないんだから、無理だよ。
 だから必死にアメリカに取りすがっているわけでしょ。「日本から出て行かないでください」「いつまでも沖縄にいてください」っていうのは、別に米軍基地の軍略的有用性がどうこうという話じゃなくて、東アジアで日本が何をすればいいのか、日本人に代わって考えてください、ということでしょ。でも、アメリカはもうそういう日本の依存症的なあり方に、正直うんざりしているんじゃないかな。「こっちだって、もう尻に火が点いているんだ、そろそろ自分のことは自分で考えろよ」という気分になっているんじゃないかな。(上同、p75〜76)
 このような事情を知ると、絶望的になりそうです。戦後、民主主義も、憲法の理想主義も、一見すると「ボロボロ」になりかけて今にも崩れ落ちそうに見えるからですす。
 しかし、満身創痍になりかけながらも、75年もの長きにわたって平和を維持してきました。この事実から言えることは、(考えようによっては)荒波に揉まれて強靭になってきた側面もあるようです。そうでなければ、日本丸は沈没してしまっていたでしょう。
 今必要なことは、日本の素晴らしさを見直し、日本国憲法を力にして、弱点を克服していくことなのかも知れません。「この国の状況が、政治が、今どんなに暗く見えたとしても、悲観することはありません。私たちが傍観者でなく『主権者』になったとき、未来は限りなく未知数になるからです」(堤未果著『18歳からの民主主義』、岩波新書編集部編、2016年、p128)。

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