2023年10月13日金曜日

仏国土という理想の建立

 十七条憲法に興味を持ち調べているうちに、井上光貞著「十七条憲法」『井上光貞著作集・9』に出会いました。そして、今までにない新鮮な「菩薩の思想」というものに出会うことができました。この菩薩の思想」は柿崎正治著『聖徳太子の大士理想』の中に書かれていたもので、井上光貞さんが「非常に感銘をうけたこと」(『井上光貞著作集・9』、p31)があったという思想です。それはまた、「菩薩理想という」ことであり、「人がいかなる理想的な人格を求めるかといったようなこと」(上同)でもあります。

 さらに、「菩薩の境地」について、次のように説明しています。

 姉崎正治先生の説明によると「一念備修万行」ということであります。つまり、一人の偉人がここに立っていて前におられる方々の気持をすっかり把握していて、すべての人の心を自らの心とし、それが自分の行為の中にも慈悲の形になって現われるといったような境地、実にすばらしいことを言ったものだと、おもうのです。(上同)

 次に、菩薩の思想」の核心と思われるところを紹介します。「菩薩の教化によって、この世の衆生の心がみな素直になるならば、その時には菩薩自身の願が成就しているのだから菩薩は仏になることが出来る。そうするとそのままこの世が仏国土になる」というのです。

 維摩経義疏の中で著者がもっとも関心をもっているのは仏国品で、仏国土の建立、この世に仏国土を現ずるのだ、ということをいっている部分であることは、みなさんご承知のところでありますが、その中で最も詳しい説明のあるところに「直心(ひたすら仏道に向かう心)はこれ菩薩の浄土なり、菩薩成仏のとき、へつらわざる衆生きたってその国に生ぜむ」という短い言葉があって、これを十の問答をあげて説明しています。つまり義疏の作者はこのところに非常に大きな関心を示しているわけであります。ところが、その十の問答というものをみてみますというと、意味はこういうことのようでございます。菩薩の教化によって、この世の衆生の心がみな素直になるならば、その時には菩薩自身の願が成就しているのだから菩薩は仏になることが出来る。そうするとそのままこの世が仏国土になる。(『井上光貞著作集・9』、p32)

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