古代ギリシャ時代にユークリッド幾何学は誕生しました。たった5つの当たり前の事実、「公理」から導かれる一つの学問体系です。そのユークリッド幾何学は揺るぎのない論理体系で、ニュートンやカントさえその正しさを疑うことはなかったのです。唯一無二絶対真理完全無欠の論理体系として2千年もの間、学問の世界に君臨していたのです。
ユークリッド幾何学の「公理」は、
1、2つの点を通る直線は1本しか引けない。
2、直線はいくらでも延ばすことができる。
3、直角は全て等しい。
4、点を中心にして、2位の半径の印を描くことができる。
5、直線と点がある時、点を通って直線に平行な直線は1本しか引けない。
以上の5つです。
誰もが、その正しさを疑うことはなかったユークリッド幾何学でしたが、その正しさに疑問を持つ数学者が現れてきました。まずプロクロス(412ー458)が「公理5は公理の中から除外しなければならない」などと言い始めたのです。有名なガウス(1777ー1855)も公理5に疑念を抱いた一人でした。
公理5に関する研究ほど多く書かれたものはありませんでした。それでも問題は無なかったのです。しかし、ハンガリーのボヤイ・ヤーノシュ(1802ー1860)が、まったく新しい論理体系を築いてしまいました。「公理5」を「直線と点がある時、点を通って直線に平行な直線は2本引ける」としてみたら、全く新しい世界を作り出してしまったのです。その世界では”三角形の内角の和は180度未満”になるのです。それでも数学者は「そんなものはありえない」という反応でした。数学界から見向きもされなかったのです。
その後、ベルンハルト・リーマン(1826~1866)が、「公理5」を「直線と点がある時、点を通って直線に平行な直線は1本も引けない」とすることで、またまた新しい別の論理体系を築いてしまいました。そこでは何と、「三角形の内角の和は180度より大きい」という結論が導き出されてしまったのです。それでも、これまではあくまでも数学条の話でした。そこに現れたのがアインシュタイン(1879~1955)による一般相対性理論(1916年)です。その理論でアインシュタインは、「時空が質量の影響で非ユークリッド幾何学的に湾曲することを予言したのです。
そして1919年、太陽の重力で地球に届く光が湾曲するかどうかでアインシュタインの予言の正しさを証明する実験で、予言の正しさが証明されたのです。ということは、この世の中が非ユークリッド幾何学的にできていることを意味しています。(「N HK『笑わない数学 非ユークリッド幾何学』、2023年10月15日」からの要約)
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