そんなエピソード満載の日誌風随筆を静山が書き始めたのは文政4年(1821年)、数えで62歳のときだ。氏家幹人著「殿様と鼠小僧」(中公新書)によれば、友人の大学頭(当時の文部科学大臣)、林述斎が「過去・現在を問わず後世に伝えたい事柄を記録したらどうか」と勧めた。隠居後も柳の間の後輩が出世した情報を耳にしては、悶々とする静山の姿を見るに見かねてのアドバイスだった。
静山は「後世に伝える」という言葉にピンときたのだろう。早速、その日から筆を起こした。11月17日の甲子の日から書き始めた「どうでもいい話」ということで、題名を「甲子夜話」とした。
82歳で息を引き取るまでの20年間、書きも書いたり、記録は正篇100巻、続篇100巻、三篇78巻の278巻。テーマは事件や事故、風俗、行事、動植物の生態から河童伝説に至る森羅万象に及び、興味の守備範囲は驚異的だ。(『日本経済新聞』、2023年8月31日、強調は引用者)
人生100年の時代にふさわしい「人生100年の羅針盤」でした。こういう人生もあると、励みにもなり、高齢者の可能性に希望も湧いてきます。
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