2023年8月27日日曜日

意志(魂)の再生物語『MINAMATA』

 映画『MINAMATA−ミナマタ−(字幕版)』を観ました。1971年、ニューヨーク。アメリカを代表する写真家の一人と称えられたユージン・スミスは、今では酒に溺れ荒んだ生活を送っていました。 「子供は口をきいてくれない。いつ死んでもいい状態。金もない。もうやり残しは何もない。全て売り払った。機材も何もかもだ」という具合だったのです。
 そんなユージンのもとに、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市にあるチッソ工場が海に流す有害物質によって苦しむ人々を撮影してほしいと頼まれます。そして、日本に渡り、チッソからの様々な妨害に遭いながらも、ユージンは撮影を続けます。私は、水俣の犠牲になられた現実の悲劇がどんなものだったか、改めて再認識することができました。特に、アメリカのLife誌の1972年6月号に載った『入浴する智子と母』は、水俣の現実を世界に知らしめた写真ですが、忘れてはいけない現実を訴えています。
 この映画の素晴らしさは、皆まだの現実を知らしめたことだけでなく、ユージンの意志の再生の物語でもあることです。すっかり生きる意思を失いながらも、「ミナマタという新しい写真の対象との出会いと、対象との格闘を通して意(魂)を取り戻して行く物語になっているのです。
 

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