そんなユージンのもとに、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市にあるチッソ工場が海に流す有害物質によって苦しむ人々を撮影してほしいと頼まれます。そして、日本に渡り、チッソからの様々な妨害に遭いながらも、ユージンは撮影を続けます。私は、水俣の犠牲になられた現実の悲劇がどんなものだったか、改めて再認識することができました。特に、アメリカのLife誌の1972年6月号に載った『入浴する智子と母』は、水俣の現実を世界に知らしめた写真ですが、忘れてはいけない現実を訴えています。
この映画の素晴らしさは、皆まだの現実を知らしめたことだけでなく、ユージンの意志の再生の物語でもあることです。すっかり生きる意思を失いながらも、「ミナマタという新しい写真の対象との出会いと、対象との格闘を通して意志(魂)を取り戻して行く物語になっているのです。

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