2023年7月6日木曜日

恨みなど、何も生み出さない

 NHK大河ドラマ『どうする家康(24)築山へ集え!』は、未来社会を暗示していたようで、私にとって圧巻だった。瀬名が、戦のない世を夢見、その方法論を家康をはじめ家臣団に説き伏せたのだ。しかし、織田には内密に進められた計画だったが、織田に露見しててしまう。結果、25回は瀬名が責任をとって自害してしまう悲しい回だった。瀬名の言葉に感動したので、圧巻部分のセリフを文字に起こしてみた。考えてみれば、江戸後期に続いた泰平の世というものは、瀬名の夢が実現したというべきのかもしれない。
 久松に「もう戦は懲り懲りじゃ。恨みなど、捨てて仕舞えば良い。そんなものは何も生み出さぬ」と言わせているが、東アジア地域の平和を考えるとき、この言葉の真実に気づかなくてはならないと思う。
 そうなのだ。恨みなど、何も生み出さないのだから、そんなものは捨てて仕舞い、手を繋げば平和な地域になる。
穴山:奥方様をたぶらかすつもりでつもりでやってきました。が、逆にたぶらかされてのが拙者でございまして。
瀬名:書物を読んだり、いろんな人に教えを乞うたりして、一つの夢を抱くようになりました。
信康:母上の考えは、我々が武田の配下になることでも、武田が我々の配下になることでもありません。
家康:どういうことじゃ。
瀬名:なぜ、私たちは戦さをするのでしょう?
家康:私が生まれた時から、この世は戦さだらけじゃ。考えたこともない。・・・戦さをするのは貧しいからじゃ。民が飢えれば、隣国より奪う他ない。奪われれば、奪い返す他ない。
瀬名:されど、奪い合えば、多くの犠牲を伴います。
家康:やむをえん。
瀬名:そうでしょうか。
家康:なら、どうすれば良い?
瀬名:貰えば良うございます。足りなければ、コメがたくさんある国からもらう。
家康:ただで、くれはせん。
瀬名:代わりのものをやれば良い。塩を取れる国は塩を、海があれば魚を、金山があれば金を。相手が飢えたるときは助け、己が飢えたるときは助けてもらう。奪え合うのではなく、与え合うのです。さすれば、戦は起きません。
忠次:お方様、仰せになることはわかります。しかし、それは理屈でござる。実際にそのようには、
瀬名:まいらぬか。
数正:少なくとも、徳川と武田がそのように結ぶことはできますまい。互いに多くの家臣を殺され、深い恨みを抱えております。
信康:父上、私はもう、誰も殺したくはありません。戦さをやめましょう。
家康:信康
五徳:されど、そのようなことは、我が父が許さぬでしょう。
忠次:さよう。織田と敵対することになる。戦になりましょう。
信康:我らは誰とも戦はせぬ。
忠次:向こうから攻めてくるのでござる。
瀬名:そうはならぬために、この方々に知恵をいただきました。
信康:久松殿、今川殿らの誓書でござる。
於大:なんと素晴らしい考えじゃ
久松:織田様に知られぬよう、ことを進められるかどうかが肝心。
於大:仲介役は我らに任せよ。話は決して漏らさずに、国衆たちをまとめ上げよう。
久松:たくさんの味方を作って、大きな繋がりを作りましょう。
瀬名:大きな繋がり。
久松:そう、もう戦は懲り懲りじゃ。恨みなど、捨てて仕舞えば良い。そんなものは何も生み出さぬ。このはかりごとなら、この久松、残りの命を捧げられます。
氏真:そういうことならば、この今川の名が多少は役に立とう。こちらには相模北条の姫もおるしな。
糸:もし徳川様と武田様が手を結べば、間違いなく北条ものって参ります。この糸が、必ずや北条を結びつけまする。
氏真:・・・・このような胸の弾むはかりごとがあろうか。
数正:そのような結びつきは、脆いものかと。
信康:肝心なのは、銭でござる。
数正:銭
瀬名:それらの国が同じ銭を使い、商売を自在にし、人と物の往来を盛んにする。さすれば、この東国に、新たなる巨大な国が出来上がるも同じ。そのような巨大な国に、信長様が戦さを仕掛けてくるでしょうか。強き獣は、弱き獣を襲います。しかし、強き獣と強き獣は、ただ睨み合うのみ。
信康:睨み合っている間も、我らの元に集う者は、どんどん増えるに違いありません。この大きな国は、武力で制したのではなく、慈愛の心で結びついたものなのですから。
家康:慈愛の心で結びついた国
千代:いずれ織田様も、我らの元に集うことになりましょう。
穴山:武田、徳川、織田、北条、上杉、伊達らがあらゆる事柄を話し合いで決めていくのです。さすれば、戦のない世ができまする。
瀬名:日本の国が一つの慈愛の国になるのです。
信康:これが、母上が考えた途方もないはかりごとでございます。(強調は引用者による)

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