昆虫を愛してやまなかったフランスの昆虫学者ファーブル[1823~1915]の、人類滅亡への危惧を知って身震いしてしまった。人類滅亡後の世界を、次のようにリアルに表現されていたのである。
「人間は進歩に進歩を重ねていくうちに、自分のつくった文明と言われるものの洪水のために、いつかおぼれ死にさせられる日が来るのではないかと、思われてならない」「この動物たちは、われわれ人間が、この地球上にあらわれるまえから、うたっていたのだ。われわれがほろんでしまったあとも、ゆるぎない太陽の、焼きつくような光をほめたたえて、歌をうたいつづけるだろう」(『昆虫と暮らして』、アンリ・ファーブル著、岩波少年文庫、1980年)
核の脅威など思いもよらなかった時代に、どうして、このような予言めいた警告を発することができたのか、不思議である。世界に大きな衝撃を与えた、農薬による環境汚染を警告した『沈黙の春』の著者であるアメリカの女性海洋生物学者・作家カーソン[1907-1964]のことを考えると、農薬の影響が少しずつ昆虫に現れていたのだろうか。何れにせよ、原発事故の洗礼を受けた今、核の脅威は、ファーブルの予言を現実味のあるものにしている。さらに核の脅威は、ファーブルの予言さえも覆して、昆虫一匹の生存さえ許さない可能性もあるということを想起して見る必要がある。
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