2023年7月26日水曜日

『十七条憲法』の理想

 暁烏敏の解説によれば、『十七条憲法』による日本建国の理想は、「自利利他円満の境地」である「聖人の精神をこの世に成就する」ことだという。そういう意味では、日本国憲法と同じく、理想を説いたものと言えるかもしれない。
 こうして『十七条憲法』に思いを馳せると、「当時の社会はどのような社会だったのだろう」という新たな疑問が生まれてきた。いずれにせよ、天皇制には反対だが、『十七条憲法』の解説を学ぶことは、日本人について考えるためにも意義があるかもしれない。
 神武天皇が橿原(橿原)に都を奠(さだ)められたときの御詔勅に「聖造」というお言葉があります。これに「ひじりのみわさ」といふ訓が昔からつけられてをります。聖という字は『説文』によると耳に呈といふを書いた文字だそうです。耳は受容れること、呈は現はすこと、耳は入我、呈は我入ですから、聖は自利利他円満の境地の現わされておる文字です。『十七条憲法』にも「千載にして以て一の聖(ひじり)を待つこと難し」とあるように聖人を憧憬しておられます。これによってみるに、日本建国の理想は聖人の精神をこの世に成就するということにあると思ひます。さういたしますと、『十七条憲法』を聖典と申すことは日本の伝統の精神に合するも のと信じます。(中略)日本最初の成文法である『十七条憲法』は聖典の中の聖典と尊崇せねばならぬと思います。私達は、聖徳太子の御心によって大日本精神のこの偉大な表現文としての『十七条憲法』を誇りとすべきであると信じます。
 私は現代の思想を指導する最も大切な原理として、日本の宗教として、日本の道として、この『十七条憲法』を世に紹 介したいと願うております。 (中略)仏教の教えを受けておる者にしろ、 儒教の教えを受けておる者にしろ、この大日本に生を受けたものは、この大日本の宗教である『十七条憲法』を疎かにしてはなりません。(「十七条憲法講話」『暁烏敏全集 5巻』、p205)

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