2023年7月19日水曜日

二者択一を迫る国民投票の問題点

 憲法改正に関する国民投票の前に考えたいことがある。
 衆参の憲法調査特別委員会というものがあって、議員の間で論議を深めようとしているが、国民の間での議論は皆無に等しい。本来なら、国民の間での議論が進み、それらを受けて国会でも議論を始めるというのが筋であろう。国民の間での議論なしの状態で、議員先行で進められる国民投票には反対である。このように考えるようになったのは、次のような、保阪正康さんと浅田次郎さんの対談を読んだからである。
 ここで問題視されていることは、二項対立の問題点として捉えることもできる。従って、もっと問題点を深めていく必要がある。それにしても、さまざまな条件付「賛成」や条件付「反対」を無視して、「賛成」か「反対」かの二者択一を迫る現状のやり方には問題がある。そうした議論も含め、「もっと議論を尽くすべき」である。

保阪 反対かの一発勝負で、他の選択肢がまったくないわけでしょう。(イギリスのEC離脱に関する国民投票のこと)
浅田 おっしゃる通り。たぶん「賛成」で投票した人も「反対」で投票した人も、「完全に賛成」とか「完全に反対」という人はいなかったと思うんです。たとえばわが国に翻って「改憲」について賛成か反対かと問いかけたときに、「自分はこの項目に関しては賛成だけど」とか、「こういう条件付きでなら」とか、いろいろな条件をみん持っていると思う。
 そこで「賛成」か「反対」かの二者択一を迫られたら、誰だって「強いて言えば賛成」か、「強いて言えば反対」とするしかない。そんな投票の結果が、果たして「国民の総意」と呼べるのだろうか。(『対談戦争とこの国の150年 作家たちが考えた「明治から平成」日本のかたち』、保阪正康・浅田次郎他著、山川出版社、2019年、p158

保阪 国民投票というといかにも民主主義的な決定のあり方というイメージがありますけど、逆に今のやり方だと本当に民意が反映されているのかという怖さがある。
浅田 一度やったら、やり直しはあり得ないでしょうし。日本でも憲法の問題については賛否真っ二つだと思うけども、だからこそ改憲に賛成、反対だけの投票は、僕はあり得ないと思うな。それよりもっと議論を尽くすべきですよ。(上同、p160)

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