2023年4月5日水曜日

マティスの「読書する女」

 おはなし名画シリーズの『マティス 絵本画集』(マティス画、森田義之監修、博雅堂出版、2000年)を読んだ。確かに色彩の魔術師と言われるだけあると実感することができた。青年になって絵に目覚め、絵に熱中し、多くの画家との交流しながら高めていったという。老年になって手術をしたが回復して最後まで絵を描き続けた。絵に対する情熱、エネルギーに溢れていたのが印象的だった。
 作品のことでは、戦争中の絵は黒が多く使われており、心理状態を色で持って見事に表現しているのがわかった。息子を戦場に送り出さざるを得なかった社会の暗さが反映していたと思われる。強いて一枚をあげるとすれば、サロンで入選し、国に買い上げられたという「読書する女」かもしれない。随所に省略があり、そのためか、読書している女性の後ろ姿が妙に色っぽいく感じられる。
 壁にかけられた何も描かれていない額縁も印象的だ。この絵を通じて、これこそ、絵画における抽象化ではないかと思った。「読書する女」以外の対象は捨象されて描かれているからだ。


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