人類史における言葉の獲得が果たした役割は、とてつもなく大きいことがわかってきている。遺伝子によって情報が受け継がれ、進化の旅が続いてきた。その過程で言葉を獲得したわけだが、言葉こそ第二の遺伝子と言われるようになった。言葉によって飛躍的に進化が促進され、知識や文化が受け継がれるようになったからだ。
集団で狩りをするにも言葉は重要な働きをしたことは容易に想像がつく。その際に、借りの方法を話し合ったり、結果を反省するときも話し合い、より良い工夫についても話し合ったに違いない。もちろん話し合いが少ない集団もあったであろう。そういう集団は、環境が悪化するにつれて淘汰され、話し合い、工夫しあった集団が生き残ったのだ。
物理学者のホーキング博士も、その辺のことを「人類の大きな成功はどれも、話しあうことから生まれたんだ。そして大きな失敗は、話しあわなかったせいで起きた。でももうそんなまちがいをくり返さないようにしよう」(『こどもサピエンス史 生命の始まりからAIまで』、ベングト=エリック・エングホルム著、ヨンナ・ビョルンシェーナ絵、久山葉子訳、NHK出版、2021年)と言っている。
人類史の中での大きな失敗は、何と言っても戦争である。十分な話しあいを軽視し、言葉の代わりに武力を用いてしまったのが戦争だからである。人類史の教訓に学び、国際紛争も言葉による話しあいで解決するようにしなければならない。
国会の審議や国会議員による官僚に対するヒヤリングにおいて、まともな話しあいができていない事態が続いている。審議拒否や「はぐらかし」が平気で行われているのだ。こうした行為は、武力こそ使わないが、一種の暴力そのものではないか。話しあいを拒否しているからだ。そうした視点に立って、審議拒否や「はぐらかし」といった国会審議をもっと問題視すべきなのかもしれない。
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