詩集の中でも「合唱」が圧巻だった。 「つたえよう つたえよう /風に搖れる草となって /どこまでも、(中略)あの日から/ 白骨になってしまった /中学生のことを(後略)」と「つたえよう つたえよう」が四回も続く。
こうして私に伝えられ、また、私から伝わっていってほしい。
合唱
つたえよう つたえよう
風に搖れる草となって
どこまでも
焼けへしゃげた弁当箱
空を
ながれていった
もんべのひとひら
あの日から
白骨になってしまった
中学生のことを
つたえよう つたえよう
かなしい波となって
あらゆる岸に
もげていた首
川を
下っていった
幼いたましい
あの日から
白髪になってしまった
母さんのことを
(あのげんばくが
いまは無邪気くらいの
小ささですって
テニヤンから飛行機に積まなくても
ボタン一つ押して
どこへでも飛んでいけるんですって)
つたえよう つたえよう
家々をたたく風となって
どこまでも
骨ガンになったアメリカ兵
大地に
理もれてしまった
ヒロシマの
ナガサキ の
なお熱い 涙
朝鮮人徴用工の
溶けた 叫びつたえよう つたえよう
あの日から
生きてきた
ひとりの 娘の つらい年月を
草となって
風となって
どこまでも(『ヒロシマ連祷』、石川逸子著、土曜美術社、1982年p138~141)
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