2022年9月13日火曜日

B29に”狩られる”修羅場

 辻真先さんのエッセー「ペットたちの戦争と平和」(日本経済新聞、2022年9月11日)を読んだ。戦争中、飼い猫が「夜中に苦しさのあまり大きな鳴き声を発しながら死んでいった話」があった。ひもじさのあまり食べてはいけないものを食べてしまったのが原因だったらしい。苦しんでいる痩せ細った猫を目の当たりにし、よほど空腹だったのであろう、と書いていた。  
 エッセーを読み進めているうちに、なんという表現だろう!と感嘆した文章に出会った。「われわれ自身がB29に狩られる修羅場の季節が終わってのち、我が家はもう一度犬を飼った」である。この中の「われわれ自身がB29に狩られる修羅場」という表現は、虫ケラのように逃げ惑うしかなかった戦禍の人々を見事に言い表している。戦争の本質をついているような気もする。
 正直な話、このエッセーを読むまでは、辻真先さんの名前すら知らなかった。著者名で検索してみたら、だいぶ本が出版されていた。このような表現ををされる著者は、どのような内容の本を書いているのだろう、と興味が湧いてきた。とりあえず、『進駐軍の命により』(辻真先著、徳間書店、2001年)を手に取ってみようかな、と考えている。感嘆する文章に出会えるであろうか?

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