2021年1月20日水曜日

あくまで頑張る軍隊は全滅する

 図書館で『伊那谷の老子』(加島祥造著、淡交社、1995年)を読んできた。老子の思想を詩で表現した変わった本だったが、「あくまで頑張る軍隊は全滅する」という一節を知って驚いた。まさに日本の皇軍そのものだったからである。

「あくまで頑張る軍隊は全滅する
(中略)
 弱くて繊細なものこそ
 上に位置を占めて
 花を開かせるべきなのだ」(p183~184)
 これは原文も示されていた
「堅強なる者は死の徒、柔弱微細は生の徒なり。
 是を持って兵強ければ即ち滅び、・・・」
 それでは、「弱くて繊細なもの」って、なんだろう?
 そこで思い出したのが、美輪明宏さんの文化立国論である。これこそ、「弱くて繊細なもの」の代表ではないか、と思う。
 美輪 石油も鉄もない。資源も軍事力もない日本はそもそも戦争ができない国、やってはいけない国ですから、別な方法で世界から尊敬されるようにならなければ。
 有働 別な方法とは何でしょう。
 美輪 文化と人材で尊敬される国になって、力をつけるしかないと思います。以前、フランスのあるデザイナーに会った時に「美意識と言うのはフランス人が世界一だと思ってたけど違った」と言うんです。「日本の能装束や歌舞伎の衣装の材質や縫製や色のバランスを見た時、とても日本人にはかなわないと思った」と。
 特に色の種類や名前は三千ぐらいある。しかも鶸色色とか朱鴬色とか、御納戸色とか水浅葱とか風情のある名前が全部についている。そんな色彩感覚を干数百年かけて磨いたことにの文化を紹介して、その洗練された美しさにみんなびっくりした歴史もありますし、美人画や浮世絵がモネやマネ、ゴーギャンなど世界の天才に影響を与えたこともあります。
 有働 日本は漫画やアニメだけではない。世界に発信できる文化を持ち続けていた。
 美輪 でも、その文化を壊したのが戦時中の軍人で、彼らは「文化は軟弱なものである」と、ご先祖様が苦労して築き上げてきた文化を戦争の間にすべて叩き壊してゼロにしてしまった。本当の非国民でした。(「美輪明宏×有働由美対談」『文藝春秋』2019年9月号、p429)
「富国強兵」で国を滅ぼしていながら、懲りずに「核の傘」だ、「ミサイル」だ、と言っている。軟弱でいい、「柳に枝折れなし」なのだ、文化に花を開かせてこそ、日本に、世界に未来が拓けるというものである。

0 件のコメント:

コメントを投稿