今でこそ改憲論は弱くなっているが、諦めたわけではないはずだ。だからこそ、原点に帰って、改憲の本質を見ておく必要がある。改憲の目標は、今のところ「責められたらどうする」といった防衛論が中心になっている。しかし、改憲の真の狙いは、決してそれだけではない。自民党の憲法改正大綱原案というものを見るとよくわかる。例えば、
武井 自民党の憲法改正大綱原案というのが昨年〔二〇〇四年〕の十一月十七日の新聞報道で紹介されていました。その案では、国旗「日の丸」と国歌「君が代」とを定める規程が憲法の第一章の中に組み込まれています。また、天皇は、日本国の「元首」と位置づけられ、皇位は世襲、男女を問わず、皇統に属する者が継承することになっています。自民党は、はっきりと元首論の立場を打ち出したわけですね。ところが、自民党は、今年の一月になって、再検討すると言って、この案を引っ込めます。(『大西巨人 抒情と革命』、p48、強調は引用者による)
武井 象徴天皇制の現在でも「外交上、元首として遇されている」既成事実を使って「国民主権」を空洞化させていこう、とりわけ国民つまり人民の諸権利を徹底的に奪おうという意識が明瞭です。総じて、自民党草案のやり方は、悪知恵を働かせて、とても巧みです。
そういう権力側の人民の権利を抑圧しようという思惑を人々に理解してもらうためには、議論を九条に絞ってしまうのではなく、共和制の根本にある理念と国民主権とは切り離せないことや労働者の働く権利や生存権を守っていかなければならないことなどをはっきりと打ち出し、事ここにまで至った状況を改めていこうとする思想運動を展開する姿勢がないと、いま挙げたような自民党の巧妙なやり方をせき止められないのではないでしょうか。(同上、p49、強調は引用者による)
という具合である。改憲の本命というか、全体像をつかむことの重要性を指摘されているが、その通りだと思う。防衛論議(自衛隊)に目を奪われ、改憲の真の狙いが「歴史の逆行」にあることを忘れてはならない。
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